(2014年9月2日付 英フィナンシャル・タイムズ紙)

17年行政長官選挙制度で二分する香港

香港の特別行政府庁周辺で行われた民主派の大規模集会〔AFPBB News

 英国と中国が1984年に香港返還の条件で合意した時、中国サイドは香港が「一国二制度」の原則の下で運営されることに同意した。

 これは中国が香港に対し、本土で認められているよりも大きな政治的自由を許すことを意味した。だが、中国政府は、香港にどんな選挙制度を持たせてもいいか後日決める権利を留保した。

 不確実な時期を経て、中国は決断を下した。香港の市民は自分たちの指導者を選ぶことができる――ただし、それは香港市民が中国の特徴を備えた民主主義を受け入れる場合に限る、というものだ。

香港基本法の範疇でぎりぎり許される希薄な民主主義

 中国政府が選んだ複雑な選挙プロセスは、基本法――1997年の香港返還前に中国が英国と調印した香港のミニ憲法――の条文の範囲内で許される中で最も希薄な形の「民主主義」だ。基本法の条文の中で、中国は香港市民が普通選挙によって行政長官――香港の市長に相当――を選ぶことに同意している。

 8月31日に明らかにされた中国政府の決定は、その誓いの字義には従っている。だが、提案されたのは、減衰した形の民主主義だ。

 中国の全国人民代表大会(全人代)は、2017年の香港行政長官選挙の候補者は、1200人から成る指名委員会の過半数以上の推薦を得なければならないと定めた。そして、個人および法人の選挙人約25万人によって選ばれる指名委員会の構成は、親中派が多数を占める。

 中国政府の決定は、中国に敵対的な候補者が、有権者にアピールする機会を得る前に排除されることを確実にする。「中国を愛する」者だけが出馬すればいい。そしてこの審査を通った候補者が、1人1票の原則に基づいて有権者に提示されることになる。

 中国はもっと譲歩できたはずだ。結局のところ、中国政府は選出された行政長官を承認する最終決定権を持つからだ。確かに、選挙後にこの拒否権を発動することには、憲政危機を引き起こすリスクが常に伴う。だが、大半の人は、香港の有権者は極めて実利主義、現実主義であり、中国政府と露骨に敵対する人物を行政長官に選ぶことで香港の繁栄を危険にさらすようなことはしないと考えている。