(2014年9月2日付 英フィナンシャル・タイムズ紙)

イスラム国への攻撃、長期化の可能性を示唆 オバマ米大統領

批判的な向きは、オバマ政権が弱さを露呈したせいで、敵国が米国の限界を試していると主張するが・・・〔AFPBB News

 バラク・オバマ米大統領の安全保障に関する会見の原稿を準備する人たちは、どのテーマを最初に持ってくるべきなのかと頭を悩ましているに違いない。

 ロシアによるウクライナへの攻撃にすべきなのか、それとも「イラク・シリアのイスラム国(ISIS)」の進軍にすべきなのか?

 その次には何を並べるべきか? 暴力がはびこるリビアの無政府状態か、アフガニスタンにおける危険な行き詰まりか、香港に姿を現しつつある政治危機か、それとも海南島の近くで中国と米国の軍用機同士が異常接近した問題だろうか?

 どうしてこんなに立て続けに危機が起こるのだろう、と大統領は思っているかもしれないし、そう思うのも無理はない。これに対し、大統領に批判的な勢力は即座にこう答えるだろう。オバマ政権は弱さと優柔不断さを露呈してしまった。だからこそ敵国が米国の限界を試しており、欧州や中東、アジアで米国主導の安全保障の秩序が脅かされている、というわけだ。

 イラクとアフガニスタンでの戦いを経た米国が戦争に疲れていることは間違いない。しかし、世界中で安全保障の危機が多発していることは、オバマ氏や米国だけのせいではない。実際、米国がしていることに対する執着が、根本的な問題の存在を指し示している。米国の同盟国は米国による安全保障に過度に依存してしまっているのだ。

 その結果、今日では米国政府に強い意志がないことではなく、米国の同盟国の学習性無力感が、世界の安全保障システムの最大の弱点となっている。

NATOの支出の75%を担う米国

 英ウェールズで今週開催される北大西洋条約機構(NATO)首脳会議は、米国の最も重要な同盟国が自らの負担の引き上げに取り組み始める重要な機会だ。

 もしこの負担の引き上げができなければ、米国だけでは世界の秩序を維持しきれないことがますます明白になるだろうし、さまざまな安全保障の危機がさらに激しさを増すことになるだろう。

 欧州が米国への依存を強めていることは、NATOの支出の状況にも反映されている。冷戦真っただ中の時代には、NATO加盟国による軍事支出の合計のざっと半分を米国が占め、残りの半分を他の加盟国が占めていた。