(2014年9月1日付 英フィナンシャル・タイムズ紙)

MH17墜落現場への部隊派遣は「非現実的」、オランダが計画中止

(写真はウクライナ東部ドネツク市内を走る親ロ派武装勢力)〔AFPBB News

 今年3月の終わりごろ、ポーランドのドナルド・トゥスク首相は北大西洋条約機構(NATO)に1つの要請を行った。1万人の兵力をポーランドに常駐させるよう求めたのだ。

 しかし、ポーランドやバルト諸国で多くの人が驚いたことに、ドイツのアンゲラ・メルケル首相は先週、NATOの兵士を東欧諸国に長期間駐留させる構想を一蹴した。

 ロシアが3月にクリミアを併合し、ウクライナ東部への軍事的関与も続けているこの状況にNATOはどう対応すべきかという議論は、この同盟を分裂させかねないほど熱を帯びたものになっている。

 「ウクライナがやったことは、ロシアの政策との関連で解釈される。この問題は、欧州安全保障の基本原則をひっくり返しかねない」。英国王立防衛安全保障問題研究所(ロンドン)のマイケル・クラーク所長はそう指摘する。「新たな冷戦に、あるいは新たな1930年代に入りつつあるというような見方も一部にはある」

首脳会議の焦点は東欧とバルト諸国への戦力配備

 NATOは今週行われる首脳会議(隔年開催)で、新しい「即応性行動計画」を披露することにより、意見の分かれる加盟国間の橋渡しをしたいと考えている。各国の大使がブリュッセルで何週間も協議を重ねて練り上げた計画だ。

 この計画は、まだ最終決定されていない。またタカ派からは、立派な言葉が踊るだけで中身のない代物に堕してしまう恐れもあるとの警告も発せられている。

 膠着状態に陥っている最も重要な議論は、欧州通常戦力条約(CFE条約)とその後の文書で定められたルールをNATOは見限る――あるいは曲げる――べきか否かというものだ。このルールは、兵力の恒久的な配備を「新規に」実施することを禁じており、東欧とバルト諸国に基地をつくることを事実上不可能にしている。

 ロシア自身は2007年にCFE条約のモラトリアム(履行停止)を宣言したが、ドイツなどNATO加盟国は、NATO側は引き続きこの文書の精神に従うべきだと考えている。

 従って、NATOは新しい方針の策定にあたり、兵力配備に関することには慎重に取り組んできた。