(2014年8月28日付 英フィナンシャル・タイムズ紙)

がれきと化した自宅前で火をおこす男性、ガザ

パレスチナ自治区ガザの破壊されたアパートの前で、お茶を飲むために火をおこす男性〔AFPBB News

 イスラエルとパレスチナのイスラム原理主義組織「ハマス」が無期限の停戦に合意した。これで、2009年以降、ガザ地区のハマスに対して行われた3度の軍事作戦のうち、最も長く、最も多くの犠牲者を出した「プロテクティブ・エッジ(境界防衛)」作戦が終わる。

 2100人以上のパレスチナ人と70人のイスラエル人の死者を出し、ガザで大規模な物理的破壊をもたらし、イスラエル南部の何千人もの住民の生活を混乱させた戦闘の後、どちらが勝ったとも言えない。

 まず間違いなく、両者は振り出しに戻った。今回の協定は、2012年の前回の戦闘を終わらせた停戦と似た「沈静の見返りに沈静」を約束する取り決めのように見える。だが、前回の停戦合意は双方が破ることになった。

 パレスチナ側の要求――新しい港湾の建設、捕虜の解放、貿易と人の移動を阻むイスラエルとエジプトによるガザ封鎖の解除――に関する議論は1カ月後に行われる協議まで先送りされた。この協議は、沈静が維持された場合に限って実施される。

 それでも、この戦闘で誰がうまくやり、誰が弱くなったのかを論じることはできる。

勝者はハマス、イスラエル右派、鉄のドーム

ハマス: プロテクティブ・エッジ作戦の前、ガザを支配するハマスは窮地に立たされていた。ハマスは政治的に孤立し、経済的に破綻し、公務員に給料を払うことができず、さまざまな事情から宿敵のファタハとの和解を余儀なくされた。このような状況下で、戦闘は歓迎すべき展開だった。

 ハマスは、イスラエルがハマスを倒すために長く、大勢の犠牲者を出す地上戦に乗り出すことは絶対にないと正しく計算し、5年間で3度目となる世界屈指の軍隊との戦いに挑み、権力の座を守ることができた。

 ハマスの武器の多くが使い果たされ、多くのトンネルが破壊されたが、新たな停戦までイスラエルと戦ったことは、多くの支持者の目には勝利として映る。

イスラエル右派: イスラエルのベンヤミン・ネタニヤフ首相の右派の政敵は、ハマスに対して厳しい措置を取っていないと言って首相を公然と攻撃し、しばしば次の選挙に向けて選挙運動を行っているように見えた。

 極右のアヴィグドール・リーベルマン外相は、先頭に立ってガザの再占領を訴えた。大半の安全保障専門家とネタニヤフ氏は、再占領は受け入れ難いリスクに満ちていると考えていた。