今回の『中山泰秀のやすトラダムス』(8月24日放送/Kiss FM KOBEで毎週日曜24:00-25:00放送)は、南シナ海や東シナ海の上空で挑発的行為を繰り返す中国と日米の関係について語ったほか、香港で行政長官選挙をめぐり起きた民主派と親中派の対立の話題などを取り上げた。

南シナ海の覇権を狙う中国の目的は海洋資源だけではない

中山 米国防総省は22日、南シナ海の公海上空で中国軍の殲(せん)11戦闘機が19日に米軍の対潜哨戒機P8に対し約6メートルの至近距離に異常接近するなどの挑発行動を繰り返したことを明らかにしました。空の上での6メートルというのは、地上でのそれとはわけが違い、一歩間違えば接触事故を起こしかねないほどの至近距離です。

戦闘機の異常接近、米の批判に中国が反論

米国防総省が公開した、飛行中の米軍P8哨戒機のパイロットが撮影した中国軍の戦闘機 ©AFP/DEPARTMENT OF DEFENSE/HANDOUT〔AFPBB News

 国防総省のカービー報道官によると、現場は中国・海南島の東方約217キロの空域で、中国軍機はまずP8の下方約15〜30メートルを横切り、続いてP8の機首の前方を機体の底部を見せながらほぼ直角に横切ったとのこと。この行動について、同報道官は「武器を搭載していることを誇示するためのものだ」と指摘しています。

 さらにP8の下や真横を並んで飛行し、その後急旋回して過ぎ去ったといい、こうした異常な行動に対し、ローズ米大統領副補佐官は記者会見で「明らかな挑発行為で、建設的な軍事関係の推進を侵害するものだ」と強く批判したそうです。

 この報道を知った中国のネットユーザーからは「中国機のパイロットは英雄だ」などと喝采のコメントが相次いで寄せられているといいます。過去には南シナ海上空で中国軍機と米軍機との空中衝突事故が起き、中国のパイロットが行方不明になっているのに、それに対する反省が全く感じられません。

 それどころか中国国防省は、「通常の識別行動であり、安全な距離を保っていた」と反論し、「米国側の中国側に対する大規模な接近と偵察こそが、不測の事態をもたらす根源だ」と批判しています。

 今回の一件が起きた南シナ海では、その覇権を奪取すべく中国が神経を尖らせています。同海域ではベトナムと中国が領有権をめぐり争っており、日本がベトナムの海上支援を行う意向であることはニュース等で伝えられているとおりです。

 では、なぜ中国は南シナ海を狙うのか。報道ではよく海底資源の確保が狙いであると指摘されますが、私は中国が南シナ海に原子力潜水艦を配備して、米国本土を潜水艦からミサイル攻撃できる体制にしようとしているのではないかと見ています。