先週の中国株式市場
―外部資金流入と企業好決算でハンセン指数は2万5,000ポイント突破―


<先週の概況>

先週の中国株式市場は続伸しました。ハンセン指数は前週比0.63%の上昇で、心理的な節目の2万5,000ポイントを上回りました。上海総合指数も上昇し、今年の高値を更新しています。

21日に発表された8月のHSBC中国製造業購買担当者景気指数(PMI)速報値が4カ月ぶりに前月から低下したことが相場の売り材料になりましたが、外部資金の流入や企業の好決算などから買戻しの動きが鮮明となりました。


中国株式市場バリュエーション




業種別リターン



香港ハンセン指数採用銘柄 週間騰落率ランキング



<上昇>

香港ハンセン指数構成銘柄のうち、30銘柄は上昇、1銘柄は変わらず、19銘柄は下落しました。華潤置地(チャイナ・リソーシズ・ランド)は1〜6月期の増益決算を発表したことが好感され、10%の上昇で値上がり率トップとなりました。また、中国銀行(香港)(BOCホンコン)は市場予想を上回る決算を発表したほか、アナリストが株式を「ホールド」から「買い」に格上げしたことから大きく買われました。

<下落>

一方、中国複合企業の華潤創業(チャイナリソーシズ)は1〜6月期が大幅な減益となったことが嫌気され、8%超下落しました。また、中遠太平洋(コスコパシフィック)は外資系証券のアナリストが「買い」から「ホールド」に格下げしたことで売られました。

先週発表された主な経済指標

8月21日 HSBC中国製造業PMI 8月 50.3 市場予想 51.5 前月 51.7

日本時間24日10時45分に発表された8月のHSBC中国製造業購買担当者景気指数(PMI)速報値は50.3と、市場予想の51.5を下回り、4か月ぶりに前月から低下しました。全体を俯瞰してみると、8月のHSBC中国製造業PMIは好不況の分かれ目である50を上回ったものの、製造業の景況感が今年4月から力強く回復する勢いが鈍化したことが明らかになりました。


内訳を見ると、各構成指数は前月と比べて軒並み下落しました。特に新規受注(53.7→51.3)や新規海外受注(52.7→51.4)の低下が目立ちました。また、輸入価格(52.9→49.7)及び生産価格(51→49)が好不況の分かれ目である50を下回ったことにも注意が必要です。

今後発表される主な経済指標

今週は特に重要な経済指標の発表はありません。

マーケットビュー

先週の香港ハンセン指数は0.63%続伸しました。木曜日に発表された冴えないHSBC中国の製造業PMIを受けて、ハンセン指数は売られた場面もありましたが、結局買戻しが優勢となり2005年5月以来心理的な節目である2万5,000ポイントを突破しました。その理由としては、外部資金の流入や、一部大手企業の決算が市場予想を上回ったことが挙げられるでしょう。Jefferies社の資金流動レポートによると、先週の水曜日までの一週間で香港の株式ファンドに差し引きで8.49億ドル(約66億香港ドル)の資金が流入し、記録を取り始めた2005年以降で最高となりました。また、華潤置地(チャイナ・リソーシズ・ランド)、中国銀行(香港)(BOCホンコン)、中国石油化工(シノパック)等の企業の好決算も買い材料になりました。

一方、先週末にウクライナで同国政府の許可を得ずにロシアの支援物資を載せたトラックが侵入したことで地政学リスクが再び高まり、欧米株が総じて軟調に推移しました。また、上述のHSBC中国の製造業PMIが市場予想を下回り4ヶ月ぶりに前月から悪化したことは中国経済の減速懸念が根強く残っていることを示しています。さらに、先週末のハンセン指数の売買高が縮小したことを見ると、投資家の買い疲れ感も出できたようです。これらネガティブな材料を受けて、短期的には香港ハンセン指数は上値が重くなりそうです。

今週の香港ハンセン指数は材料難で一進一退の展開を予想しています。香港ハンセン指数は心理的な節目の2万5,000ポイントをしっかりと維持できるかどうかがポイントとなります。注目のテーマとして、上海と香港の証券取引所の間で売買の注文を相互に取り次ぐメカニズムである「滬港通」の連結テストが順調だったことに加え、24日に発表された「証券口座管理規則(改訂版)」による中国の「一人一口座」という規制が緩和されたことから、証券関連の株が物色される可能性がありそうです。さらに、企業決算については、中国海洋石油(CNOOC)、招商局国際(チャイナ・マーチャンツ・ホールディングス)、中国工商銀行、中国建設銀行(チャイナ・コンストラクション・バンク)等の大手企業の中間決算発表に注目が集まります。

フィナンシャル・インテリジェンス部 林 宇川(Tony Lin)

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