(2014年8月20日付 英フィナンシャル・タイムズ紙)

西アフリカのエボラ出血熱、「もはや制御不能」 MSF

西アフリカ・ギニアのゲケドゥで、エボラ出血熱で死亡した患者の遺体を運ぶ「国境なき医師団」のスタッフ〔AFPBB News

 リベリアとシエラレオネにおけるエボラウイルスの拡散は、死に至ることもあるこの感染症の過去最悪のアウトブレイク(集団発生)――公式発表によれば、少なくとも1229人が犠牲になった――を封じ込めようとする他の西アフリカ諸国の努力を上回ってしまう恐れがある。

 しかし、ギニア、リベリア、シエラレオネの3カ国でエボラ出血熱を封じ込めようと先頭に立って奮闘している国境なき医師団(MSF)によれば、被害に見舞われている国々からの支援増強要請に対する国際社会の反応は「全くない」という。

 アフリカ大陸の他の地域におけるエボラ出血熱の集団発生に長らく対処してきた実績を持つMSFは、感染した患者を隔離する病室の確保に苦労していると話している。現地では国際的な支援団体がMSFのほかにはほとんどなく、リベリアの公衆衛生サービスも完全に崩壊しているという。

孤軍奮闘する国境なき医師団、「1つの国が丸ごと崩壊する瀬戸際にある」

 この危機はリベリア経済全体にも悲惨な波及効果をもたらしている。リベリアはシエラレオネと同様、1990年代の内戦からの回復がまだ初期段階にとどまっている。

 集団発生の中心地であるリベリアのロファ郡では、最大で60人の患者を収容するよう設計されたMSFの隔離病室に125人の患者がいる。またリベリアの首都には125床の隔離病棟がある(MSFがエボラ出血熱の集団発生のために設けたものとしては過去最大)ものの、MSFはこの施設も拡張して700人の患者を収容するつもりでいる。

 「毒性と致死率について言えば、我々はこのような規模と性格の危機にはこれまで遭遇したことがない」。この地域のMSFの対応を調整しているブリス・ドゥ・ル・ビーニュ氏はこう語る。

 「この伝染病に対抗しようという意思と、プロとしての意識と、支援の手配が全くないことに我々は本当に驚いている。我々はもう何カ月も前から叫び続けてきた。状況はさらに悪くなっている。1つの国が丸ごと崩壊する瀬戸際にある」

 医療従事者が恐れているのは、もしこの病気をリベリアで――そしてシエラレオネでも――制御できなければ、他の西アフリカ諸国にも広がり続けるだろうということ。そして、ウイルスの封じ込めが比較的成功しているギニアなどの国々でも再び感染者が出てしまうことだ。