米国の学校(小学校、中学校、高校)の夏休みは、およそ3カ月もある。あまりにも長いため、親たちは子供たちと一緒にやることも尽き、学校で学んだことを全て忘れてしまうのではないかと心配しながら、学校が再開する日を指折り数えて8月を過ごす。

 よく考えてみると、こんなに長い休みを取る公の機関は他にはない。共働きの親も、専業で母親業もしくは父親業をしている親も、長い夏休みの間、子供たちの面倒で右往左往する。すでに2月初旬からキャンプの申し込みが始まり、人気のキャンプ場はあっという間に定員オーバーになる。

 毎年毎年こんなことを続け、誰も文句を言わない。ヨーロッパのように大人も長い夏休みを取るような環境ならまだしも、米国の会社はだいたい2週間の休暇が常識の範囲内だ。たとえ1カ月間休みが取れるとしても、学校の夏休みはその3倍の長さがある。仕事をしている親が、夏休みの間、子供の面倒をずっと見るのは不可能なのだ。

 かつて女性が専業主婦として家にいた時代には、夏休みというシステムが問題なく機能していたのかもしれない。だが、今となっては時代に合わなくなっている。

 そもそも、米国の学校の「夏休み」はいつ現れ、いつ確立されたのか。その昔、米国の人口の大半が農業に従事していた頃、子供たちが収穫の手伝いをするために夏休みができたという話が広く信じられている。しかし、実はそうではないことが分かった。

授業日数を減らすことが最初の目的だった

 夏休み、春休み、感謝祭、クリスマス、年始年末の休み、さらに細かい休日を合わせると、米国の子供たちが学校に通うのは、1年で180日間前後というのが標準だ。