(英エコノミスト誌 2014年8月16日号)

不法移民が大陸全体に緊張をもたらしている。

 また週末が訪れると、また2000人余りの移民が地中海でイタリアの船員と沿岸警備隊に救出される――。揚陸艦サン・ジュスト号は8月11日、イタリア南部の町レッジョ・カラブリアに1698人を上陸させた。その前日には、イタリア海軍の巡視船とフリゲート艦がシチリア島東部の港に364人を上陸させた。

 海路でイタリアに到着する人の数は今年すでに10万人を超えている可能性がある。7月末までに、約9万3000人の移民が救出された。これまでの年間記録は2011年に作られ、その時はアラブの春の真っただ中におよそ6万人がイタリアの海岸に到達した。

難民の流入急増で悲鳴上げるイタリア

 イタリアに到着する移民の数が急増したのはリビアの混乱と関係があり、移民を密入国させる船の大半がリビアから出発している。

 もう1つの理由は、エリトリア人など368人がランペドゥーサ島の沖で溺死した後、昨年10月にイタリア政府が開始した海洋捜索救出活動「マーレ・ノストルム(我らが海、地中海の呼称)」だ。

 イタリア海軍が助けてくれるという見通しが、過積載でしばしば航海にほとんど適さない船での旅をそれほど恐ろしいものでないように見せている。

 右派の国会議員の間の不満はさておき、移民の急増に対する人々やメディアの反応は驚くほど落ち着いている。4ケタに上る人間の貨物を載せた船がイタリアの海域に入ってくるという、1年前だったらトップニュースになっていただろう話は、今ではほとんど言及に値しなくなっている。

 それでも、イタリアは助けを必要としている。移民が到着し、その指紋が保管され、亡命を求めた最初の欧州連合(EU)加盟国がその申請者に責任を負うと定めた「ダブリン規則」のせいもあって、イタリアは亡命申請全体の70%を受け入れている5カ国のうちの1つになっている(残りはドイツ、スウェーデン、フランス、英国)。

 閣僚らは、地中海の移民流入への対処にEUが関与するよう繰り返し求めてきたが、無益に終わっている。直近ではアンジェリーノ・アルファノ内相が、EUの国境管理機関である欧州対外国境管理協力機関(FRONTEX)がマーレ・ノストルムの運営を引き継ぐべきだと提案した。

 だが、FRONTEXの2014年の運営予算がわずか5530万ユーロ(7400万ドル)であるのに対し、マーレ・ノストルムには月間900万ユーロの費用がかかる。