先週の中国株式市場
―冴えない経済指標を受けても4年ぶりにハンセン指数が高値更新―


<先週の概況>

先週の中国株式市場は上昇しました。ハンセン指数は前週比2.5%を超える上昇で、2010年11月以来約4年ぶりの高値となりました。上海総合指数も上昇し、今年の高値を更新しています。

マネーサプライM2、固定資産投資額、小売売上高と鉱工業生産等の経済指標が軒並み市場予想に届かなかったものの、特段材料視されませんでした。


中国株式市場バリュエーション




業種別リターン



香港ハンセン指数採用銘柄 週間騰落率ランキング



<上昇>

香港ハンセン指数構成銘柄のうち、44銘柄は上昇、6銘柄は下落しました。中国移動(チャイナ・モバイル)は9%を超える大幅上昇で値上がり率トップとなりました。外資系のアナリストが格上げしたほか、チャイナ・モバイルが米グーグル(GOOG)やKDDI(9433)などと共同事業体を設立し、太平洋横断の光海底ケーブル敷設するために3億ドルを投資すると伝わったことが好感されました。また、聯想集団(レノボ・グループ)は市場予想を上回る決算を発表して大きく買われました。

<下落>

一方、九龍倉集団控股(ワーフ・ホールディングス)はアナリストが株式を「買い」から「中立」に格下げしたことが嫌気され、売られました。また、利豊(リー&ファン)や昆侖能源(クンルンエナジー)なども軟調な推移となりました。

先週発表された主な経済指標

8月13日 マネーサプライM2(前年比) 7月 13.5% 市場予想 +14.4%、前回 +14.7%

7月のマネーサプライM2の前年同期比が13.5%増と、14.4%増の市場予想を大きく下回りました。また、7月の新規人民元建て融資は3852億元増と、7800億元増だった市場予想を大きく下回りました。

市場予想を下回ったものの、マーケットでは大きく材料視されませんでした。中国人民銀行が「単月の発表値の変動よりもトレンドが重要」である」と表明していることもあって、7月の発表値は単月のブレの範囲であると捉えられているようです。


8月13日 固定資産投資(前年比) 7月 +17.0% 市場予想 +17.4%、前回 +17.3%

7月の固定資産投資額は前年同期比17%増と、前回の17.3%増から低下しました。内訳をみると、鉄道投資や建設投資が堅調だったものの、不動産開発投資は著しく減速しました。




8月13日 小売売上高(前年比) 7月 +12.2% 市場予想 +12.5%、前回 +12.4%

7月の小売売上高(前年比)は市場予想を小幅に下回る12.2%増となりました。通信機器の売上高が24%増を記録した一方、宝飾品の前年比は11.7%減と大幅に減少しました。汚職調査の影響がまだ残っています。



8月13日 鉱工業生産(前年比) 7月 +9.0% 市場予想 +9.2%、前回 +9.2%

7月の鉱工業生産は9.0%増と、6月の9.2%増から低下し、市場予想も下回りました。特に鉱業の6.2%増と製造業の10%増が目立ちました。




今後発表される主な経済指標

8月21日 HSBC中国製造業PMI 8月 市場予想 51.5 前月 51.7

8月のHSBC中国製造業購買担当者景気指数(PMI)速報値が日本時間21日10時45分ごろ発表される予定です。

7月分のPMI速報値は香港市場が大きく上昇するきっかけとなっただけに、8月分の発表にも大きな注目が集まります。

市場では前月より小幅に悪化するものの、改善と悪化の節目となる50を上回る51.5が予想されています。

マーケットビュー

先週香港ハンセン指数は週間ベースで623.5ポイント上昇し、2010年11月8日以来の高値を更新しました。水曜日に発表された中国7月のマネーサプライM2、固定資産投資額、小売売上高、鉱工業生産等の経済指標が軒並み市場予想に届かなかったものの、相場の反応は限定的でした。ウクライナを巡る地政学リスクがある程度後退し、米国株式市場の上昇で国内と海外の投資家心理が改善したことに加え、騰訊(テンセン・ホールディングス)や聯想集団(レノボ・グループ)や中国移動(チャイナ・モバイル)などの好決算が上昇のきっかけとなりました。

先週末に再びウクライナ問題をめぐる懸念が台頭して米国のダウ平均の上昇が一服するとともに、欧州の主な指数も引き続き調整感が出ています。さらに、テクニカル面では、ハンセン指数のRSI指標が買われすぎの70を超えるところであり、短期的には利益確定売りが出てきてもおかしくないと思われます。

今週の21日に中国の8月HSBC製造業PMIなどの発表、22日に予定されているイエレンFRB議長のジャクソンホールでの講演などが注目されます。また、中国平安保険(ピンアン・インシュランス)、中国銀行(バンク・オフ・チャイナ)、銀河娯楽 (ギャラクシー・エンターテインメント・グループ)と中国海洋石油(CNOOC)等の大手企業の中間決算発表にも注目が集まりそうです。

フィナンシャル・インテリジェンス部 林 宇川(Tony Lin)

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