(2014年8月14日付 英フィナンシャル・タイムズ紙)

対北朝鮮制裁を一部解除へ、安倍首相が表明

アベノミクスが失速しているとの懸念が浮上してきた〔AFPBB News

 2012年12月、安倍晋三氏は長期低迷する日本経済を復活させると誓って政権の座に返り咲いた。それから2年近く経った今、概して「アベノミクス」と称される、首相の野心的な経済政策の組み合わせが苦境に陥っている。

 日本を刷新する安倍氏の戦略には、大きく3つの構成要素がある。日本の民話の言葉を使い、安倍氏が3本の「矢」と呼ぶものだ。

 政権の座に就いて数週間で、首相は日本経済に巨額の財政刺激策を施した。これに続き、日本をデフレスパイラルから脱却させることを目指す大規模な量的緩和が実施された。今年に入り、安倍氏は第3の「矢」の詳細を明確に打ち出した。日本の長期的な成長率を引き上げることを狙った幅広い構造改革パッケージである。

さらなる消費税引き上げは妥当なのか?

 ところが今、特に憂慮すべき国内総生産(GDP)統計が、「アベノミクス」が失速しているという懸念を呼び覚ました。統計は、日本経済が年率換算で6.8%縮小し、3年以上前に東北地方を襲った大震災と津波以来最悪の景気縮小になったことを示している。エコノミストらが今春に予想していたよりもはるかに深刻なGDP減少だ。

 GDP統計は大局的に見る必要がある。安倍氏は、自身の経済戦略でまだうまくいっている多くのことを挙げられる。日本企業は、円相場を安値誘導する量的緩和のインパクトもあり、歴史的な高収益を謳歌している。悲惨なデフレが何年も続いた後で、日本のインフレ率は今年6月に前年比1.3%となっていた。

 だが、この状況にもかかわらず、安倍氏と同氏の政権は改めて、経済成長を取り戻すのがなぜこれほど難しいのか検討する必要がある。

 GDPがこれほど大幅に減少した最大の理由は、政府が消費税の引き上げを決めたことだ。日本の公的債務は世界最大で、その結果、歳入の拡大が政府にとって極めて重要な仕事になっている。この目標の達成を後押しするために、安倍氏は今年4月に消費税率の3%引き上げを実施。これが多くの家計と企業の支出パターンを歪めることになった。

 今週のGDP統計が出た後、安倍氏は、計画されている追加の消費税引き上げがまだ正当化できるのかどうか判断しなければならない。資金力のある日本企業により大きな財政負担を負わせ、家計の負担を軽くした方が賢明かもしれない。