(英エコノミスト誌 2014年8月9日号)

インターネットにより、売買春はより手軽で安全なものになりつつある。禁止しようとしている各国政府は、考えを改めるべきだ。

NZの売春婦、セクハラ雇用主から賠償金を勝ち取る

各国政府は売買春を禁止しようとしてきたが・・・(写真はフランス・ストラスブールの路上で客待ちをする売春婦たち)〔AFPBB News

 街頭に立って客を探す売春婦。売春婦をひっかけようと車を流す男たち。胸や尻の写真が貼り付けられた電話ボックス――。その破廉恥さは、各国政府が昔から売春の禁止、あるいは認可された売春宿や「売春容認地域」への囲い込みを試みてきた理由の1つにすぎない。

 この問題に関しては、「ニンビー」(地域エゴ)的な心情を持つ人々が、売春をする女性は罪人だと考えるピューリタン、さらには売春婦は犠牲者だと考える世間知らずの慈善家と結託している。

 だが、現実はもっと複雑だ。確かに売春従事者には、人身売買や搾取、暴力に苦しめられている者もいる。こうした犯罪の加害者については、その罪を裁き、刑務所送りにしなければならない。だが、男女を問わずこれに従事する多くの者にとって、性労働はその名の通り、単なる労働だ。

 本誌(英エコノミスト)はかねて、すべての売春従事者が犠牲者だとする主張に納得していなかった。売買春の大半がオンラインに移行するのに伴い、このような作り話のつじつまを合わせるのは難しくなっている。

 個人でもウェブサイトを設けることが可能になったため、売春婦たちは自分を売り込み、自らのブランドを構築できるようになった。レビューサイトの登場により、信用できる顧客のフィードバックが史上初めて商業的な売買春に導入された。このような変化により、性産業の様相はますます通常のサービス業と変わらないものになっている。

 また、通常の業界と同じような分析も可能だ。本誌は売春婦のプロフィール19万件を扱うある国際的な大手サイトのデータをもとに、料金、サービス内容、それぞれの売春婦の特徴を解析した。これにより分かったのは、「紳士はブロンドがお好き」というフレーズが事実だということだ。ブロンドの売春婦の料金はダークブラウンの場合よりも11%高かった。ファッション誌を飾るようながりがりに痩せた体型は、でっぷりと太っているよりは需要があるが、健康的な肉付きの女性に比べるとあまり好まれていないようだ。

 当の売春婦たちも、そのほかの労働市場のフリーランサーと同様の行動を取るようになっている。コンサートで各地を回るミュージシャンさながらに、ツアーの日程を決め、オンラインで予約を取っているのだ。

 また、どんなサービスを提供するのか、売春を専業とするかについても、自分で選択している。期間限定、あるいはパートタイムで働いたり、育児優先で空いた時間に仕事をしたりする人もいる。さらには他の市場と似た形で、学位を持つ売春婦に割増料金がつくことさえある。

「見えざる手」の効用

 道徳を重んじる人たちは、こうしたオンラインへの移行を嘆くだろう。というのも、これが売買春産業の大幅な成長につながるからだ。今後は買い手と売り手が相手を見つけ、取引を成立させることもより容易になる。より安全になり、いかがわしさも薄れることで、新たな供給者が売春業に流入してくるはずだ。

 新規顧客が売春婦を見つけるのも簡単になる。これまでよりも手軽に、自分の望みにぴったり合ったサービスを見つけ、その品質を確認できるからだ。また、売春のあっせんをしている男たちや売春宿のマダムは身震いしているはずだ。インターネットにより、こうした人々の値付けに関する影響力は大きな打撃を被るだろう。