(2014年8月7日付 英フィナンシャル・タイムズ紙)

 2008年8月7日の午後、当時グルジア大統領だったミハイル・サーカシビリ氏は、分離派の南オセチア自治州の州都ツヒンバリを砲撃することを含め、グルジア軍に南オセチアの支配権を奪い返すよう命じた。

 数時間のうちに、ロシア軍――南オセチアとの国境地域で軍事演習を行っていた――がカフカス山脈の下のロキトンネルを通ってなだれ込み、ロシアとグルジアの5日間の戦争が始まった。

 あれから6年経った今、グルジアからわずか数百マイルしか離れていないウクライナ東部で歴史が繰り返されるのではないかという国際的な懸念が高まっている。

歴史は繰り返すのか

 最近の兆候は憂慮すべきものだ。数週間前にウクライナとの国境沿いに配備された部隊を1万人余りまで減らした後、ロシアはここ数日で、その数を2万人程度までほぼ倍増させた、と米国と北大西洋条約機構(NATO)の当局者は話す。

 少なくともそれと同じだけのロシア軍が、ロシアが3月にウクライナから併合したクリミア半島でも侵攻の隊形を組んでいる、とウクライナ政府は言う。一方、ロシア政府は、8日までの予定で大規模な空軍の軍事演習を始めている。

ロシアがウクライナ国境の部隊増派、直接介入の懸念強まる

勢いを取り戻したウクライナ政府軍が東部を制圧(写真はウクライナ東部スラビャンスク近郊を走るウクライナ軍の装甲兵員輸送車)〔AFPBB News

 最も重要なことは、ロシアの支援を受けたウクライナ東部の分離派が活力を取り戻したウクライナ軍に倒される可能性に直面しており、ルガンスクとドネツクの州都で最後の抵抗の準備をしていることだ。

 5日夜、6年前のツヒンバリを彷彿させるように、折しもロシアがウクライナ東部の人道上の「大参事」について議論するために国連安全保障理事会の緊急会議を招集した矢先に、ドネツクが空爆を受けた。

 安保理の大半の理事国は、赤十字の指揮下で「人道」部隊を派遣するというロシアの要請を拒否した。