(2014年8月6日付 英フィナンシャル・タイムズ紙)

 リンドン・ジョンソン米大統領がJ・エドガー・フーバー米連邦捜査局(FBI)長官について、「恐らく、彼をテントの中に置いて外へ向けて小便させた方が、テントの外から内側に小便させるよりいい」と言ったのは有名な話だ。

 オバマ政権が今週、50カ国近いアフリカ諸国の首脳をワシントンに迎える中、米国は発展途上世界での中国との関係と、ワシントンに本部を構える世界銀行と国際通貨基金(IMF)の役割について、これと似たようなジレンマに直面している。

 コンゴ民主共和国の水力発電ダム「インガ3」などの大型インフラプロジェクトでの協力を呼びかける中国政府の提案は、米中関係にとって、2つの明白な道筋を浮き彫りにしている。

米国が直面するジレンマ

 米国にとっては、そうしたプロジェクトでの中国との協力は世界銀行とIMFの中心的役割の支えになるが、協力に伴う複雑な状況ももたらす。一方で、もし米国と中国が協力する方法を見つけられなかった場合には、両国は、政治的な影響力を奪い合う、競合する金融ネットワークを運営する結果になりかねない。

 ここ数年、中国政府が国際金融におけるワシントンの支配的地位を弱体化させる計画を推進してきたことを考えると、インフラプロジェクトでの新たな米中協力の可能性は意外に思えるかもしれない。

 世界金融危機の直後、中国の銀行は積極的に他の発展途上国向けの資金供与を行うようになり、融資額がすぐに世界銀行を上回った。

 中国は、恐らく同国が支配することになるアジアインフラ銀行の設立構想を推し進めている。中国はまた、BRICS(ブラジル、ロシア、インド、中国、南アフリカ)5カ国による新開発銀行の設立と、それと並行する通貨スワップファシリティの設定の原動力にもなった。この2つの制度機構は、世界銀行およびIMFと張り合う可能性を秘めている。

 同時に、中国は人民元を徐々に米ドルに匹敵する国際通貨に変えることを目指した一連の改革を導入してきた。また中国政府は、中国のIMFクオータ(出資割り当て額)を増やそうとする米国の計画が米連邦議会で行き詰まったことにも腹を立てている。