(英エコノミスト誌 2014年8月2日号)

アルゼンチンが再びデフォルトした。だが、債権者との取引は不可能ではない。

 失望、メロドラマ、そして、かすかな希望の光――。債務再編に応じなかった「ホールドアウト」債権者とのアルゼンチンの法的な膠着状態の最近編の材料は、痛いほど見覚えがある。

 失望は、アルゼンチンが史上8度目のデフォルト(債務不履行)に陥った7月30日遅くにやって来た(下図参照)。メロドラマは、その判決が今回の事態を招いたニューヨーク連邦地裁のトーマス・グリーザ判事に不満をぶちまけるアクセル・キシロフ経済相によるものだった。そして希望は、まだ和解の可能性が残っていることだ。

 アルゼンチンが2001年に810億ドルの債務で返済義務を果たさなかった前回のデフォルトが、今回のデフォルトの発端だ。当時の債権者の多くは、デフォルトした債務を2005年と2010年に行われた2度の債務再編で新たな債券と交換した。

 だが、少数の債権者は違う道を選んだ。その法律に基づいて元々の債券が発行されたニューヨークの裁判所で元本と利息の全額返済を求めるために、デフォルトした安い債券を買いあさったのだ。

 ヘッジファンドのNMLキャピタルを筆頭とするこれらホールドアウト債権者の一団――キシロフ氏とその上司であるクリスティナ・フェルナンデス・デ・キルチネル大統領はむしろ「ハゲタカ」ファンドという用語を好む――は、ホールドアウト債権者たちが求めている13億ドルを利息とともにアルゼンチンが払わない限り、債務再編に応じた新債券保有者に返済することを禁止する裁判所命令を勝ち取った。

 これは、アルゼンチンがホールドアウト債権者と取引するか、もしくは新債券保有者への返済を停止してデフォルトに陥るか、どちらかしかないことを意味していた。

アルゼンチン政府とホールドアウト債権者の見解の相違

 アルゼンチン政府は、新債券保有者への支払い猶予期間が切れる前日の7月29日までホールドアウト債権者と直接会うことさえ拒否した。

 政府は、再編後の債券に含まれる「RUFO条項」を発動させることなしに、ホールドアウト債権者に返済することはできないと主張した。年末に期限を迎えるこの条項は、アルゼンチンが、全債権者に同じ条件を与えることなく、2005年と2010年の債務再編で債権者に与えたものよりも良い条件を(他の債権者に)「自主的」に与えることはできないと定めている。

 ホールドアウト債権者は政府のこの言い分に反論し、どんな裁判官も裁判所が命じた返済を「自主的」と解釈することはないと主張した。