(2014年7月31日付 英フィナンシャル・タイムズ紙)

北京行きマレーシア航空機が消息絶つ、239人が搭乗

半年足らずで2度の悲劇に見舞われたマレーシア航空〔AFPBB News

 ある企業が挫折や災難に見舞われると、ビジネススクールの教授と経営ジャーナリストは必ず、ほかの企業のための教訓を提示してみせる。

 ゼネラル・モーターズ(GM)とイグニッションスイッチの欠陥の例がそうだったし(問題を見つけた従業員は必ず、管理職に伝えるようにすること)、スターバックスが英国で直面した税金問題の場合もそうだった(企業にダメージを与える消費者の力を侮ってはならない)。

 だが、マレーシア航空の苦悩から他社が学べることはあまりなさそうだ。旅客機が1機行方不明になり、もう1機が撃墜された2度の惨事は、ほかの人へのアドバイスを生み出すにはあまりに珍しすぎるからだ。

 マレーシア航空自身が2度の悲劇から何を学べるのかも、よく分からない。最初の悲劇は、まだ説明がついていない。2度目の悲劇は、マレーシア航空の責任ではなかった。航空機は紛争地帯の上空を飛んでいたが、ほかの立派な航空会社も飛んでいた。

 こうしたひどい不運を考えると、マレーシア航空が社名を変え、別の名前で再出発することを検討しているのは無理からぬことだろう。

極めて異例なマレーシア航空の窮状

 国際民間航空機関(ICAO)の安全性報告書を見れば、マレーシア航空の窮状がどれほど尋常でないか分かる。2013年には、31億人の乗客が国際線か国内線の定期便を利用した。そのうち173人が事故で死亡した。今年の数字はそれより多くなるだろうが――マリで墜落したアルジェリア航空機など、ほかにも致命的な墜落事故が起きている――、それでも搭乗者全体に占める割合はごく小さいはずだ。

 だが、こうした統計数字でさえ、マレーシア航空のMH370便の失踪とウクライナ東部上空でのMH17便の撃墜がどれほど珍しいかを表していない。

 航空事故の大多数は、離着陸時に起きる。2013年の航空事故のうち、フライトの途中で起きた事故はわずか10%だ。 また、マレーシア航空の飛行機はどちらもジェット機のボーイング777だったが、墜落する確率はターボプロペラ機の方が高い。ターボプロペラ機はジェット機よりも世界の民間機に占める割合がずっと低いにもかかわらず、航空事故の46%がプロペラ機だ。

 航空業界がマレーシア航空の経験から学べる小さな教訓はある。航空会社は、悲劇が起きた後に顧客とコミュニケーションを取る方法を見直すだろう。筆者は最初の惨事の後にマレーシア航空に乗った時、同社のアフマド・ジャウハリ最高経営責任者(CEO)が機内誌の巻頭で、事故の話題を避けるのではなく、哀悼の意を表しているのを見て感心した。