(2014年7月29日付 英フィナンシャル・タイムズ紙)

 サウジアラビア王国が株式市場を外国人投資家に開放する決断を下した。中東で最も規模が大きく、かつ売買が最も活発なこの市場には来年、さらに資金が流入する公算が大きい。王国の経済改革にも弾みがつくことになりそうだ。

 長らく期待されていたこの決定に、中東地域担当のファンドマネジャーたちは沸き返っている。豊富な炭化水素資源と湾岸諸国最大の人口とに支えられた中東最大の経済規模を誇るサウジに直接アクセスできるようになるからだ。

サウジ金融市場の歴史において画期的な出来事

 HSBCの中東・北アフリカ地域最高経営責任者(CEO)を務めるサウジアラビア人のモハマド・アル・トワイジリ氏は、この動きを「サウジの金融市場の歴史において最も重要な出来事の1つ」と形容している。

 ファンドマネジャーたちも、中東の株式市場が大きな変化を遂げる可能性について同様に大げさな表現を用いている。世界金融危機の発生に「アラブの春」による不確実性が加わったことで、中東の市場は外国人投資家から長期にわたって見過ごされてきた。

 この決定の発表を受け、サウジのタダウル全株指数はすでに4%上昇している。同指数はそれ以前にも、石油中心の経済の好調さを背景にここ2年間で46%上昇している。

 国際通貨基金(IMF)によれば、サウジアラビアの国内総生産(GDP)はこの4年間で48%の成長を遂げ、2014年には7790億ドルに達すると見込まれている。

 「サウジアラビア市場には、新興国としてもかなり高い経済成長率と先進国並みの信用力がある」。試算運用会社フランクリン・テンプルトン・インベストメンツの中東・北アフリカ(MENA)株式部門代表、バッセル・ハトゥン氏はこう指摘する。「その意味で、今後は非常に面白いことになる」

MSCI新興国市場指数に採用されれば、さらに大量の資金が流入

 サウジのタダウル株式市場は、地域の他の証券取引所と比べると巨大だ。5600億ドルに上る株式時価総額は、残りの湾岸諸国5カ国を足した規模に匹敵し、ロシアの取引所とほぼ肩を並べる。市場のPER(株価収益率)は14倍で、他の新興国市場と比べるとタダウルは割高だと言う人もいる。

 だが、ハトゥン氏は、比較的高いPERは比較的高い企業の利益率(今年は平均15%)で補われると言い、外国人に価値をもたらす業種として、強力な金融業界、石油化学業界を挙げる。一方、小売企業やヘルスケア企業が海外資金を呼び寄せると言うファンドマネジャーもいる。