2014年5月、民放連研究所の「民放のネット・デジタル関連ビジネス研究プロジェクト」報告会に出席した。聴衆300人ほど。せっかくなので、そこで自分が話したことを記録しておこう。

 テレビとネット。

 最近、自分が思うのは、「この3年間テレビはネットにすり寄り過ぎたのではないか?」ということである。

テレビとネットの差異

 1980年代以降、「差異が消費を生む」なんてことが言われてきた。本質的なニーズが満たされている成熟社会においては、表層の差異が消費意欲を増すと説かれてきたのだ。

 映像市場は、あれから30年経て、まさにいま成熟化している。

 1990年代以降の衛星放送やケーブルテレビ、そしてネットが映像の供給量を増やし続けている。何せ、YouTubeには1分間に100時間以上の映像がアップされるのだ。

 そんな市場環境で、プレイヤーとしてのテレビとネットに差異が無ければどうなるか。先行者であるテレビの優位性は消えてしまうのではないか。だから、テレビはネットにすり寄り過ぎてはいけないのではないか。

 そんなことを考えている。