(英エコノミスト誌 2014年7月19日号)

米国の潜在成長率は、20年前の半分に届くかどうかだ。それを引き上げるには、どうすればいいのか。

 1990年代半ば、米国の経済見通しが突如として明るくなった。生産性が急上昇した。すぐに「ニューエコノミー」と呼ばれるようになったこの経済の恩恵を受けるべく、移民と外国資本が大挙して押し寄せた。失業率は4%に低下したが、インフレ率は低い水準に保たれた。

 そうした諸々のことから、エコノミストたちは、米国の潜在成長率――失業率とインフレ率の安定を保った状態で経済が拡大できるスピード――が、数十年間の平均だった3%から、3.5%、あるいはそれ以上にまで急速に上昇したと結論づけた。

 残念ながら、ニューエコノミーはもはや存在しない。2008~09年の景気後退後の回復は、戦後の景気回復で最も勢いがなく、米国の潜在成長率が急落していることを示す証拠が積み重なっている。2つの大きな決定要因である労働力の供給と生産性の上昇は、いずれも十分な水準に届いていない。2013年の実績は特に貧弱で、米国の労働力人口は全く拡大せず、労働生産性(労働時間当たりの生産)は低下した。

 国際通貨基金(IMF)は最近、米国の潜在成長率の推定値を2%に引き下げた。1.75%という低水準に見積もるエコノミストもいる。

 これまでのところ、潜在成長率の低下は実質的な影響をほとんど及ぼしていない。景気後退があまりにも深刻だったうえに、回復があまりにも弱々しいため、米国経済は今なお生産能力を下回る状況が続いている。だが長期的には、経済成長の限界ペースが半分になれば、惨憺たる影響が生じるはずだ。生活水準の向上が鈍化し、税収が低下し、現在の債務の返済がいっそう重荷になるだろう。

 この問題を短期的に解決するためには、需要を押し上げればいい。したがって、米連邦準備理事会(FRB)は低金利を維持すべきだ。だが、長期的に成長を活気づけるためには、米国はサプライサイドにも対処しなければならない。特に、労働力人口を増やし、生産性の上昇率を高める必要がある。

あまりミステリアスではない労働者の消失

 米国の生産年齢人口は、1990年代には年平均1.2%のペースで増加していたが、2013年の増加率はわずか0.4%だった。生産年齢人口のうち、実際に労働力に参加している人の割合は、67%以上から63%未満にまで低下している。その一因は景気後退にある。長年失業し続けた人の中に仕事を探すのをあきらめる人が出てきたからだ。この点は、回復の押し上げが重要である理由の1つになっている。

 労働力人口の割合低下のもう1つの原因は、ベビーブーム世代の高齢化だ。50代後半(労働参加率が低下し始める時期)以上の人口が急速に増加している。