(2014年7月17日付 英フィナンシャル・タイムズ紙)

インドネシア総選挙、最大野党躍進の公算

大統領選挙の速報では、ジョコ・ウィドド氏(左)勝利した公算が大きいが、結果はまだ分からない〔AFPBB News

 インドネシアには有権者が1億9000万人いて、47万9000の投票ブースがあり、大統領選挙が自由かつ公正であることを保証するために実に450万人もの選挙管理人がいる。インドネシアに唯一欠けているものは、結果だ。

 4月上旬の議会選挙を皮切りに、その後数カ月に及ぶ選挙運動を経て、7月9日の大統領選で最高潮に達した一連の選挙を経た今も、インドネシア人はまだ誰がスシロ・バンバン・ユドヨノ氏から大統領の座を引き継ぐのか知らずにいる。

 公式の集計結果が発表される7月22日になってようやく、国民は確実に知ることになる。その時でさえ、選挙結果に異議が申し立てられる可能性があり、結果が確定するまでのプロセスには、さらに1カ月の時間がかかるかもしれない。

 選挙結果は、インドネシアを大きく異なる方向に導く可能性がある。人気のあるジャカルタ州知事のジョコ・ウィドド氏は、正直さと受け取られている人柄と「庶民の味方」としての立場のために、貧しい人たちから強い支持を得ている。対抗馬のプラボウォ・スビアント氏は元将校にして裕福なエリートの一員であり、強い国家主義的言動を取る傾向がある人物だ。

 大半の「クイックカウント(選挙速報)」――投票締め切り直後に取られたサンプルに基づく集計――によると、ウィドド氏が約52%対48%の得票率で選挙に勝利したという。スムーズな政権移行の期待を打ち砕くように、スビアント氏も自身が勝利したと主張している。スビアント氏は恐らく、最後の最後まで選挙結果を争うだろう。

「模範的な民主的移行」か「選挙の大失敗」か

 国が岐路に立っていると表現するのは、月並みな決まり文句だ。だが、今後数週間に何が起きるかによって、インドネシアは「模範的な民主的移行」という印の付いた道を進むか、さもなければ「選挙の大失敗」という標識で示された別の道を進む可能性がある。

 最初の道は、独裁国家から機能する民主主義国家へと向かう、インドネシアの一見スムーズな移行に元気づけられた人々にとっての勝利となるだろう。2つ目のシナリオ――長引く危機か、もっと悪ければ、盗まれた選挙――は、独裁体制を擁護する人たちの見方を裏付けることになる。

 しばしば模範として引き合いに出される国がうまくやり遂げられないのだとすれば、もしかしたら民主主義は本当に、貧しい国々には享受できない贅沢なのかもしれない。