(英エコノミスト誌 2014年7月12日号)

多くの国はドイツのミッテルシュタントのような中小企業群を欲しがっている。それを真似るのはそう簡単ではない。

 「ミッテルシュタント」と総称されるドイツの中小製造業者は、世界第4位の規模を誇るドイツ経済の屋台骨を支える企業集団としてよく称賛される。個別に見ると、こうした企業は才能を隠すことにかけて世界的なリーダーだ。こうした中小企業は概して同族経営で、小さな町に本社を構え、自社の専門的な機械や部品を購入する企業にだけよく知られている。

 「我々は金を掘り当てようとしているのではない」。実験装置メーカー、ザルトリウスの最高経営責任者(CEO)、ヨアヒム・クロイツブルク氏はこう言う。「我々は金採掘業者にショベルを販売しているのだ」

 だが、ドイツの隠れた一流企業はますます、一定の世界的名声を博しつつある。大勢の人がトヨタ自動車を研究するために1970年代に日本に押し寄せたのと同じように、世界中の政府関係者やビジネスマンがミッテルシュタントから学ぼうとドイツ巡礼している。

 ミッテルシュタントの業界団体であるドイツ中小企業連盟(BVMW)のマリオ・オーホーフン会長は、近頃では行く先々で加盟企業の成功の秘訣を説明するようせがまれると話す。最近近づいてくる国には、イランやエジプトも含まれる。

各国がミッテルシュタントに学ぼうとする理由

 近年のドイツの力強い経済が、他国がドイツを見習いたいと思う最も明白な理由だ。だが、ミッテルシュタントは、資本主義制度につきまとう最大の懸念のいくつかにも解決策を提供しているように見える。

 1つは、包括性に関するものだ。一部の国は、あまりにも多くの経済活動が少数の巨大企業と一握りの巨大都市に集中するようになっていることを心配している。もう1つは、若年失業だ。企業経営者が技能不足を訴える一方、何百万人もの若者が無職の状態に置かれている。

 マンハイム大学で経営学を教えるヴィンフリート・ヴェーバー教授は、中小企業と、地元との深い結び付きや強力な徒弟制度との組み合わせが、ドイツでは25歳以下の若者の失業率がわずか7.8%にとどまっている理由だと説明する(これに対し、スウェーデンは22.1%、スペインは54%)。

 ミッテルシュタントと呼ばれる企業は、自社従業員に並外れた忠誠心を抱かせる。一部の米国大手企業では従業員の離職率が30%に上るのに対し、ミッテルシュタントでは、毎年の平均離職率がわずか2.7%だ。