日本経済の復調とともに、産業界から大学に対しては海外で活躍できるグローバル人材の育成を求める声が強まっている。各大学ともに語学力アップのためのプログラムや、留学支援など様々な施策を打ち出しているが、単に「英語が話せる」「留学経験がある」ことがグローバルなのだろうか。ビジネスで、海外の人と交渉したり、コミュニケーションをとるために必要なのは、高性能・翻訳マシーン的能力だけではないはずだ。

 明治維新の直後は、西欧の先進国に追いつけ追い越せの機運が高まり、欧化万能の風潮が支配的だった。そんな中、日本古来の伝統・文化の価値を正しく評価し、西欧の模倣ではない自国の文化を大切にしようとの観点から設立された皇典講究所を母体とする國學院大學は、「日本文化、歴史、文学の究明」を建学の精神に、日本屈指の研究機関としての実績を重ねてきた。

 神道・国史・国文・国法など人文科学研究分野を中心に日本屈指の150万冊の蔵書を誇る図書館には、重要文化財である「金葉和歌集」(鎌倉時代)、「久我家文書」(平安~明治)をはじめとする歴史的な資料を多数収蔵するなど質の面でも超一級。國學院大學博物館には古墳時代の「武人埴輪」「挙手人面土器」をはじめ約11万点の考古学系資料を収蔵している。

 急激なグローバル化が求められる今、改めて、欧化万能の風潮に流されていないか、立ち止まって考えてみる必要はないだろうか。「英語が話せるだけでなく、日本文化を理解し、海外の人に正しく説明できる力を付けることこそ、大学発のグローバルだ」と考える國學院大學の強みが発揮される時なのかもしれない。

 國學院大學文学部の授業から、日本文化をもう一度見直したくなる魅力的な3つの講義を紹介したい。

特別講義1(國學院大學 文学部 小川直之教授)

「ねぶた」は夏バテ退治の行事だった!?

夏祭に込められた意味を考える國學院大學・小川直之教授の民俗学への招待
特別講義2(國學院大學 文学部 秋澤亙教授)

『聖徳太子絵伝』から『源氏』の時代の装束がわかる?

物語を立体的に捉える面白さ―國學院大學秋澤教授の特別講義へようこそ!