(2014年6月28/29日付 英フィナンシャル・タイムズ紙)

英首相、EU残留を問う国民投票を約束 17年末までに

手痛い打撃を被ったデビッド・キャメロン首相〔AFPBB News

 彼女が告白してきたのは日付が変わってからのことだった。ブリュッセルに19世紀に建てられた英国大使公邸のロココ調の装飾が施された一室で、欧州一の権力を持つ指導者アンゲラ・メルケル氏はデビッド・キャメロン氏と一緒に赤ワインを飲みながら、「申し訳ない」と言ったのだ。

 英国側の会合の記録によれば、これは全面的な謝罪ではなかった。しかし、両国の首脳が3週間ほど前に抱いた、自分たちは大変な計算違いをしていたという認識は正しかったことがこれで確定した。

 メルケル氏は、欧州議会の推すジャン・クロード・ユンケル氏が欧州連合(EU)のトップに就任することについて、キャメロン氏に対し「心配しなくていい」とここ数カ月間何度も明言していたことを認めた。

 しかし、ドイツ国内の圧力が非常に強く、ほかに選択肢がなかったと付け加えた。つまり、英国にどんなコストが及ぶことになろうと、キャメロン氏が公の場で強く反対していたユンケル前ルクセンブルク首相が欧州委員長になるしかなかったのだ。

 これはキャメロン氏個人にとって非常に大きな打撃となり、同氏の対欧州政策にとっては決定的な出来事となった。キャメロン首相はこれまで、EUにますます懐疑的になっている国民に対し、自分なら28カ国が加わるEUとの関係について再交渉を行ってもっと有利な条件を引き出せると公約してきた。

 この恐ろしく困難な仕事を成し遂げる可能性の根拠は、「ベルリン最優先」のアプローチにあった。メルケル氏は英国がEUにとどまるよう手を貸してくれるだろうという考えに、キャメロン氏はほとんど取り憑かれていたのだ。ところが、いざという時になって、最大の盟友が約束を守れないと伝えてきたわけだ。

欧州首脳会議での初の採決、26対2で完敗

 キャメロン氏は同僚らに「がっかりした」「見捨てられた」とこぼした。その失望感は27日、歴史的な屈辱とともに頂点に達した。40年近くに及ぶ欧州首脳会議の歴史において、採決で初めて正式に敗れた首脳となったのだ。

 キャメロン氏は己の主義に基づいた主張を展開し、26カ国の首脳はユンケル氏と行動を共にする意思を表明した(キャメロン氏の慰めとなる唯一の反対票を投じたのは、ハンガリーのヴィクトル・オルバン首相だった)。

 「私は、ジャン・クロード・ユンケルが意中の候補だと言った」。メルケル氏は27日に記者団にこう語り、英国の首相と内々に約束をしていたかについてはコメントを避けた。「ここで起きたことは、私の公の場での発言と矛盾していない」とも述べた。