東京エレクトロン(TEL)は、2014年6月20日に都内で株主総会を開き、米アプライドマテリアルズ(AMAT)との経営統合に関する議案が「賛成が3分の2を超えたため、承認・可決された」(「日本経済新聞」、2014年6月21日)。反対意見はほとんど出ず、会場は賛成の拍手に包まれたという。

 一方、AMATも、23日(米国時間)に臨時株主総会にて、議決権が行使された株式の約99%に相当する株主の賛成が得られたため、TELとの経営統合案が承認されたと発表した(同、6月24日)。

 AMATとTELが驚きの経営統合を発表したのが、9カ月前の2013年9月24日。当初は、「どちらかの取締役会が意見を変更したことで契約が解除された場合、相手に解除金4億ドル(約395億円)を支払う」とする条項が契約書に盛り込まれるなど、本当に経営統合までたどりつけるのか疑問視されていた。しかし、両社の株主総会で正式に承認されたことから、今後、各国での独占禁止法関連の承認が得られれば、両社の経営統合が実現する。

 外堀はほぼ埋まったわけだ。次は、どんな組織で、どんな戦略の企業をつくるのかというステージに移行することになる。

対等合併とは見ていない海外メディア

 前掲の日経新聞によれば、TELの東哲郎会長や常石哲男副会長が、特に気を使ったのが「対等」の精神だったという。東会長は「統合効果を出すには対等合併以外あり得ない」とし、それゆえ、持ち株会社を第三国のオランダに設置し、取締役会の構成も同数とし、株式交換比率も公平な値を算出した。

 しかし、それでも、本当に対等になるか、不安は残る。

 まず、「ウォールストリート・ジャーナル」など海外メディアは、「AMATがTELを買収した」と報じている(2013年9月25日)。つまり、海外メディアは決して対等合併とは見ていない。売上高がTELの約1.5倍あるAMATが、買収によりTELを吸収すると見ているのである。