(英エコノミスト誌 2014年6月28日号)

安倍晋三首相に、ここ数十年で最高の日本再生のチャンスがめぐってきた。首相にはこれをものにする用意はあるようだ。

消費税8%、安倍首相が正式表明

安倍首相の「第3の矢」は今度こそ的を射るか〔AFPBB News

 1868年に始まった日本の明治維新では、改革派の官吏や民間人が一丸となり、封建制度を廃止し、国境をこじ開け、日本を急速な産業化の道へと押し出した。10年あまりで、改革派は日本を徹底的に作り替えた。

 この有名な話は長きにわたり、日本人の間で楽観主義の根拠となってきた。日本人は、真に必要に迫られれば、方向転換できるという考え方だ。

 しかし、外国人をはじめ、そこまでの確信を持つことができない人々もいる。日本の経済は20年にわたって停滞を続け、その間、リーダーたちはこの国の運気を上向かせることに失敗し続けてきた。

 2012年に就任した安倍晋三首相は、楽観主義者と懐疑派の両方に材料を提供してきた。首相は当初、驚くほど素晴らしい滑り出しを見せた。2013年には、明治維新に匹敵するスピードで、「アベノミクス」の2本の矢を放った。具体的には、大規模な財政刺激策と劇的な金融緩和策だ。株価は高騰し、政権の支持率は急上昇し、安倍首相率いる自民党は参議院選挙で勝利を収めた。

 しかし、3本目の矢、すなわち成長を促すための構造改革については、同年6月に発表された最初の試みは完全な失敗に終わった。首相は日本の様々な利益団体に丸め込まれてしまったようだった。さらに12月、安倍首相は日本の軍国主義賛美の象徴とされる靖国神社を参拝した。これが他国を激怒させ、首相が経済改革の本筋から逸れているのではないかという疑念を強めた。

 そして、安倍首相は6月24日、今度こそ適切な3本目の矢を放った。今回は的に当てることができると考えられる2つの理由がある。1つ目の理由として、今や国民の大多数が何らかの改革が必要だと自覚している点が挙げられる。2つ目の理由は、安倍首相がようやく、変化を必要とするほぼすべての経済分野に及ぶ、幅広い構想を打ち出した点にある。

急速に高齢化が進む日本社会

 経済が停滞していたこの20年で、日本は変化した。主な理由は人口動態だ。まるで隠し切れない白髪のように、高齢化の兆候はあらゆるところに見受けられる。あるシンクタンクは最近、出産が可能な年齢の女性たちが大都市に移り住むため、全体の半分にあたる900近くの自治体が2040年までに消滅するという予測を出した。

 日本の人口で最も急速に増加している年代は100歳以上で、既に10%以上の住宅が、主に高齢化のために空き家と化している。労働力の縮小があまりに急激なため、女性と外国人排除の気風が顕著な日本のエリート層でさえ、移民の受け入れや女性の社会進出を検討している。