(英エコノミスト誌 2014年6月21日号)

政府は日本の地方銀行に経営統合してほしいと考えている。

 日本の銀行は比較的無傷で金融危機を切り抜けた。それは主に、米国や欧州の銀行にあれほど大きな問題をもたらした不良資産に手を出さなかったからだ。

 だが、銀行の規制当局である金融庁は現状に満足しているわけではない。将来の金融不安の潜在源を探る中、金融庁は約100行の地方銀行に狙いを定めた。地銀をすべて合わせると、日本の融資のざっと4割を占め、みずほ、三菱UFJ、三井住友などの日本の5大金融機関とほぼ匹敵する。

今のところ健全に見えるが・・・

 一見すると金融庁の懸念は見当違いに思える。地銀は地元企業と強い関係を持つ傾向があり、多くの場合、地元市場で支配的な銀行だ。そのおかげで、多くの地銀は都市銀行より若干高い純金利マージン(銀行が預金に対して払う金利と融資から得る金利の差)を稼いでいる。

 静岡県沼津市のスルガ銀行など一握りの地銀は革新的な金融機関だ。スルガ銀行はよそで信用を得ることが難しい人――特に主婦――を対象に小口融資を行うことで、他の地方銀行の2倍近い純金利マージンを獲得している。大半の地銀はそれほど創造的ではない。だが、こうした地銀の保守的な方針は、各行がほとんどリスクを冒さないことも意味している。

 だが、地銀の立場は確かに弱くなりつつある。日本の低金利は、たとえ圧倒的な市場シェアを持っていても、地銀の融資事業は大抵、わずかしか利益を上げられないことを意味する。

 加えて、急速な人口高齢化の問題も大きく立ちはだかっている。調査財団の日本創成会議が発表した5月の報告書によれば、現在の傾向が続けば、900ほどの地方自治体――全体の半数――が2040年までに消滅、もしくは機能停止に追い込まれる可能性があるという。出産適齢期の女性が大都市に移り住むからだ。

 東京、大阪、名古屋の継続的な成長によって、地銀が顧客を失う一方で5大銀行は事業を拡大し続けられるだろう。また、大手銀行は国内での弱い資金需要を埋め合わせるために海外で多額の利益を上げているが、地銀は法人顧客が海外に工場を建設する時に一緒に海外進出することができない。さらに困ったことに、最も脆弱な地銀は、経営陣が経験不足で、自己資本のクッションが薄い。

 金融庁は解決策は業界再編だと考えている。安倍晋三首相率いる政府もそれに同意している。5月に自民党は地方金融の抜本的な見直しを求める成長戦略を発表した。

 報告書は銀行が顧客に経営刷新を迫る代わりにゾンビ企業を延命させていると批判。銀行のリスク回避行動が新興企業の資金不足を招いているとも指摘した。この慎重な態度は銀行自身に低収益をもたらしていると、報告書の著者の塩崎泰久氏は付け加える。