(英エコノミスト誌 2014年6月21日号)

ロシアは北欧諸国の間でNATO加盟に関する新たな議論をかき立てている。

 スウェーデンとフィンランドは何年も前に中立であることをやめた。両国とも北大西洋条約機構(NATO)の演習に参加し、NATOの緊急対応軍に部隊を派遣し、ボスニアとコソボで平和維持活動に参加し、アフガニスタンで戦闘に加わった。スウェーデンの場合は、2011年のリビアでの空中戦にも関わった。

 これら2つの北欧国家はそれゆえ、いくつかの正式加盟国以上に熱心な大西洋同盟の参加国だということになる(ドイツはリビアに関わることを一切拒否した)。それでも両国はNATOの最大の恩恵を享受していない。意思決定のテーブルでの座席と、一国に対する攻撃をすべての国に対する攻撃と定義する北大西洋条約第5条が提供する保護である。

 ロシアが「パートナー」であり、中立性――それより非同盟と呼ぶべきか――が国のアイデンティティーの象徴だった時は、それも大して重要ではなかった。だが、ウクライナに対するウラジーミル・プーチン大統領の武力侵略が両国に再評価を迫っている。

フィンランドで高まるNATO加盟気運

 かつてロシア帝国の一部だったフィンランドでは特にそうだ。これから首相を引き継ぐアレクサンデル・スタッブ氏は、「フィンランドの国家安全保障を最大限に高める」ためにNATO加盟を推進する意向を明確にしている。

 スタッブ氏は6月半ば、欧州委員会に転進するユルキ・カタイネン氏の後継者として保守派・国民連合党党首に選出された。現在の5党連立政権はNATO加盟への動きを排除しているため、すぐには何も起きないだろう。しかし、スタッブ氏は、フィンランドは来年4月の総選挙後に「包括的な議論」が必要になると述べており、同氏が勝利すれば、加盟への動きを指揮する決意を固めているように見える。

 ロシアは声を荒げている。プーチン氏の上級政治顧問のセルゲイ・マルコフ氏は、フィンランドは第3次世界大戦の引き金を引く危険を冒していると述べた。「反ユダヤ主義は第2次世界大戦を勃発させた。ロシア恐怖症は第3次世界大戦を引き起こしかねない。フィンランドは、スウェーデン、ポーランド、バルト諸国に次いで欧州で最もロシア嫌いの国の1つだ」と同氏は言う。

 冷戦中のソ連による外交政策の強制的な骨抜きを意味する「フィンランド化」という用語を生み出した国で、スタッブ氏は歴代首相よりさらに踏み込もうとしている。世論は曖昧だ。世論調査は、ほとんどのフィンランド人がNATO加盟に反対していることを示しているが、国の指導者たちが支持すれば、国民も同意するだろう。

 問題は、フィンランドの指導者たち自身が割れていることだ。社会民主党はNATO加盟に反対している。外交と防衛政策の側面、特にロシアとの関係は大統領の管轄下にあり、サウリ・ニーニスト大統領はNATOを支持した過去の姿勢を弱めている。