(2014年6月23日付 英フィナンシャル・タイムズ紙)

イラク過激派、首都進撃を計画 米監視団体

直近では、イラクでのスンニ派過激派の再来が「電気ショック」の役割を果たした〔AFPBB News

 電気ショックを与えるとむくりと起き上がる死体のように、米国のネオコン(新保守主義者)たちは何度も息を吹き返す。電流は一定の間隔でやって来る。シリアによる化学兵器の使用、ロシアによるクリミア併合、中国が海上で強めている攻撃的な姿勢、そしてイラクにおけるスンニ派の過激派の再来といったものだ。

 こうしたネオコンの復活を後押ししているのがテレビ局だ。世界を揺るがす問題が起これば必ず、お馴染みの面々がカメラの前にしゃしゃり出て、今は1939年と同じだと声を上げる。それがネオコンのやることであり、メディアはそれゆえに彼らを愛してやまない。

 しかし、ネオコンの今回の復活については、もう少しちゃんとした理由がある。ひょっとするとあの震えは、2016年の大統領選挙の有力候補者が、ネオコンの教義にも一理あるのではないかと思い始めているせいかもしれない。

 チャーチルの定義によれば、狂信者とは考えを変えることができず、話題を変えようとしない人のことだ。ただ、話題の方が変わってくれることも時折ある。一見混沌としている今日の世界はネオコンにとって、自説を展開し始める際の格好のトピックだ。これほどの上ネタは「2001年9月11日」以来だ。

ネオコンが自信を深めている3つの理由

 ネオコンが自信を深めている要因は3つある。第1の要因は、かなわない敵だと思っていたバラク・オバマ大統領の話に米国民が耳を傾けなくなったことだ。

 オバマ氏の支持率低下の主因は、国内で物事を成し遂げられないことにある。米国民は、表面上は大統領の外交政策目標を支持している。海外の紛争への関与は不人気で、外国への米軍の派遣は極めて不評だ。オバマ氏はどちらの点でも国民の期待に応えてきた。来年末までには、アフガニスタンからもイラクからも米軍の部隊は撤収する。

 ところが米国民はそう言いながらも、自分の国が世界のリーダーとして認識されることを今でも望んでいる。そしてそうした認識には、昨今の状況を受けて疑問符がつけられている。

 オバマ氏が大統領選挙で地滑り的な勝利を収めたのは、米国民がジョージ・W・ブッシュ――ネオコンに世界的な見せ場を提供したその人――を拒絶したからだった。ゆえに、米国民によるオバマ氏の拒絶はネオコンの復活に道を開くことになる。水力学のシンプルな法則に従って、ネオコンは帰ってきたのだ。

 第2に、人の記憶は長持ちしない。今日のイラクの混迷ぶりを見ていると、その背景にそもそも何があったのかをつい忘れがちだ。ブッシュ氏がイラクに侵攻したのはフェイスブックの登場よりも昔のこと。当時はオバマ氏の名前など、まだ誰も聞いたことがなかった。