7月28日、米連邦準備理事会(FRB)は最新の地区連銀景況報告(ベージュブック)を公表した。8月10日に行われる次回連邦公開市場委員会(FOMC)で討議資料の1つになる。セントルイス連銀がとりまとめた、12地区連銀による最新の景況報告の総括判断は、「前回報告以降、総じて、経済活動は拡大を継続した。しかし2つの地区が経済活動の水準は総じて横ばいと報告した。経済活動の改善を報告した地区の中では、多くの地区が、増加はモデストだとした。また、2つの地区は、経済活動は最近減速したと述べた」というもの。前回6月9日分と比べて、景気判断は下方修正されたと言える。米景気指標の下振れがこのところ相次いでいることと、整合的である。

 ここでは、日米長期金利の大幅低下などを背景に現在の状況と対比されることが多い7年前、すなわち2003年1~7月のベージュブックの内容や当時のFOMCの動きを振り返り、足元の状況と比較しておきたい。

図表1: 米地区連銀景況報告(ベージュブック) 2003年1~7月の記述内容
発表日 景気の総括判断 物価(賃金・雇用などを含む)
の総括判断
FOMCの動き
<03年>
1月15日
11月中旬から1月初めの経済成長は抑制された。全体として、前回報告からほとんど変化はない。大半の地区が、成長を「低迷」「軟調」「抑制」と形容した。 労働需要はほぼ横ばい。付加給付コストやいくつかの投入物価上昇にもかかわらず、雇用者報酬や最終価格の上昇は、供給面の競争的な環境で抑制された。 ---
3月5日 1~2月の経済成長は、引き続き抑制された。ごく少数の地区連銀以外、前回報告から目立った変化はなかった。多くの地区で、地政学的あるいは経済的不確実性が家計と企業の支出を抑制し、短期的な期待を減らしている。 ほとんどの地区で、エネルギーや保険コスト上昇への懸念が聞かれるが、企業はコスト増加分を消費者に転嫁するのが困難である。賃金上昇圧力は引き続き、ほぼ全地区で総じて抑制されているが、健康保険などのコストは増加を継続。 イラク戦争前の「異例に大きい不確実性」を理由に、声明文はリスクバランスを明示せず
(3月18日)
4月23日 3月と4月最初の2週間、経済成長ペースは不振を続けた。リッチモンドは緩やかな成長を報告したが、6地区はまちまちか軟調と報告。5地区は景気は最近減速したとしている。イラク戦争の開始は売上や支出にいくらか影響を与えたように見えるが、家計と企業の信頼感に対する戦争の効果を完全に確かめるには、時期尚早である。 労働市場は引き続き軟調だが、いくつかの地区はレイオフ減少や人材派遣需要の改善を報告。多くの地区が特定分野における価格上昇圧力を報告しているものの、広範なインフレ圧力への言及はなかった。 声明文のリスク認識判断軸を分割。景気は上下バランス、物価は小さいがデフレリスク警戒
(5月6日)
6月11日 4~5月の景気動向については景気拡大の兆候がいくつか報告されているが、大半の地区で経済状況は低迷したままである。一段の悪化を報告した地区はない一方、4地区が景気拡大ないし改善の兆候を報告。2地区がまちまちで、残りの地区では低迷した。イラク戦争関連の懸念がなくなったことで企業と消費者の信頼感はいくぶん改善したが、大半の地区でその効果は劇的ではなかった。 労働市場は引き続き軟調。付加給付は上昇を続けているが、賃金引き下げ圧力がいくらか見られた。 FFレートを0.25%引き下げて、1.0%に
(6月25日)
7月30日 6月と7月前半、景気拡大が一段階加速したことを示す追加的な兆候が報告された。3地区のみが低迷と形容し、1地区はまちまち。残りの地区は前回報告以降のやや強い成長を示唆した。総じてよりポジティブになった現況評価に沿う形で、数地区が、今後数カ月の景気見通しについて楽観論が増しているとした。 物価は総じてほとんど変わっていない。ただし、いくつかの地区によると、健康保険コストの上昇を従業員に転嫁する動きが続いている。 FOMC声明文で、FFレート1%は「かなりの期間(for a considerable period)」維持され得るという「時間軸」を提示
(8月12日)

出所:米FRB資料よりみずほ証券金融市場調査部作成