ニッケイ新聞 2014年5月3日、6日

最も多いのはコロンビア人=「第三国定住」受け入れも

 ブラジル国内には現在、79カ国からの5208人の難民がおり、そのうち最も多いのはコロンビア人で1154人いる。法務省の国家難民審議会(Conare)のデータで明らかになった。

 その数字によれば、国内での難民申請はこの数年で急激に増えている。2010年は566件(そのうち受理された件数は126件)だったのが、昨年は5256件(同649件)と10倍近くになった。しかも昨年は、申請を受理された件数が、認められなかった件数(636件)を初めて超えた。

 国家法務局のパウロ・アブラォン局長はこの難民急増を「中東、アフリカ、南米大陸の各地で起きている政治不安の結果」とする。国連難民高等弁務官事務所のブラジル代表アンドレス・ラミレス氏は、それ以外に「世界におけるブラジルの存在感の高まり」を指摘する。

 1951年に採択された国際条約「難民の地位に関する条約」に、ブラジルが加入したのは1997年。「第三国定住」(難民キャンプで生活するなどして難民となっている者を、別の国が受け入れる制度)も受け入れている。

 法務省によれば、コロンビア人難民を受け入れているのは、隣国エクアドルで難民として生活している5万5千人以上のコロンビア人の第三国定住を受け入れることで、エクアドルに協力することが目的だ。

昨年は4割強がアフリカから=ハイチ人には例外的措置

 国連難民高等弁務官事務所のブラジル代表アンドレス・ラミレス氏によれば、メルコスール諸国間で結ばれた協定でコロンビア人、アルゼンチン人、パラグアイ人、ウルグアイ人、チリ人、ペルー人はブラジルに永住する権利が与えられている。この協定のため、これらの国の出身者は難民申請手段を取らないケースがほとんどだという。

 コロンビア人の次に多いのがアンゴラ人で国内に1062人いる。アンゴラは1975年11月にポルトガルから独立したが、アンゴラ開放人民運動(MPLA)とアンゴラ前面独立民族同盟(UNITA)双方がそれぞれの政府を樹立し、内戦状態に陥った。

 その後2002年、UNITAのザビンビ議長の戦死を契機に和平機運が高まり、休戦協定が結ばれ、約30年間に及んだ内戦に終止符が打たれた。この協定のもと、国内の治安が安定し、国際協力機関が内戦中に発生した多くの国外難民と国内避難民の帰還を支援しているため、ブラジル国内のアンゴラ難民数も、今後は徐々に減っていくと見られている。