(2014年6月17日付 英フィナンシャル・タイムズ紙)

 ロシアの国営天然ガス大手ガスプロムは16日、ウクライナに対する天然ガスの供給を停止した。

■ガスプロムはなぜガス供給を停止したのか?

 ウクライナは昨年、ガス料金の支払いを滞納し始め、数週間前まで、数カ月分のロシア産ガスの代金を支払っていなかった。苛立ちを募らせたガスプロムは、ウクライナを交渉テーブルに着かせるために前払い制への移行の脅しを使った。ガスプロムによれば、前払い制への移行は、ウクライナの国営エネルギー企業ナフトガスとの契約に基づく同社の権利だという。

ロシアがウクライナへのガス供給停止

ウクライナ西部ウシュゴロド近郊のガス計量施設〔AFPBB News

 欧州連合(EU)が仲介した数週間の協議中に、支払いの期限を数回延期した末に、ガスプロムは16日午前10時(モスクワ時間)という厳格な期限を定めた。

 ウクライナは6月に7億8600万ドルの支払いを行ったが、価格が争われていなかった昨年11月、12月に供給されたガスについて、まだガスプロムに対して少なくとも14億5000万ドルの未払い金がある。

 ガスプロムは、ウクライナは4月と5月の供給について、さらに30億ドルの債務があると主張している。だが、これらのガスの引き渡しの価格が争われているため、債務の規模も争われている。

■ウクライナはなぜ支払いを拒むのか?

 5月までは、ウクライナは単に支払いを行うお金がなかった。その後は国際通貨基金(IMF)から資金を受け取っているが、価格に異議を唱えているため、支払いを行わないことにした。ガスプロムは1~3月に1000立方メートル当たり268.5ドルだったガス価格を4月以降、485ドルに引き上げている。

 ガスプロムは、この価格は前回のガス危機後に調印された2009年契約に明記されており、4月の値上げは単に2度の割引を取り消したことを表しているだけだと話している。割引の1つは、ロシアの黒海艦隊がクリミア半島のセバストポリに駐留することを認める取り決めと関係していた。ロシアがクリミアを併合した後、この取り決めはもう必要なくなった。

 だが、ウクライナ政府は、485ドルという価格は不当だと訴え、ガスプロムが「公正」な価格でガスを供給することに同意した時に初めて債務を返済すると話している。

 この1週間でガスプロムは価格を385ドルまで引き下げることを申し出たが、ウクライナは割引が実施される仕組みが不満だった。これは政府が命じる割引で、モスクワ政府の気紛れで再び取り消される可能性がある、というのがウクライナ側の言い分だ。