米国の最新鋭攻撃原潜ヴァージニア級の4番艦、「ノースカロライナ(SSN-777)」を見学する機会に恵まれた。

米海軍横須賀基地で見学した「ノースカロライナ」

 今回、米海軍横須賀基地は「ノースカロライナ」の寄港に当たって国内の有識者やメディアに内部を公開した。これは4月のオバマ大統領のアジア歴訪以後もなおもくすぶる米国のアジア太平洋リバランス政策への取り組み不足の懸念に対して、米国の誇る最新鋭の兵器を公開することで、日本の有識者やメディア関係者に安心感を与えることを意図したものと思われる。

 「ノースカロライナ」(水中排水量7800トン)は弾道ミサイル原潜(SSBN)や巡航ミサイル原潜(SSGN)などとは区別される攻撃原潜(SSN)である。そこで、今回はこの「ノースカロライナ」訪問を題材に、米国の潜水艦戦力を取り巻く現状と課題について考えてみたい。

日本の潜水艦よりも巨大で快適

 「ノースカロライナ」に搭乗して直ぐ気づくことは、その船体の大きさである。かつて訪問したことのある日本の通常動力型潜水艦(SS)、「おやしお」(水中排水量4000トン)と比べると約2倍の大きさがある。その大きさゆえのゆとりは、上部ハッチから中に入ると直ちに明らかになった。

 内部の撮影が認められていないので写真を示すことができないが、「おやしお」に比べれば「ノースカロライナ」は通路が広く、天井も高く、移動に難がないとの印象を抱く。食堂などは見たところ「おやしお」の数倍以上の広さがあり、また個室も「おやしお」では艦長室のみであったのが、「ノースカロライナ」ではそれぞれのセクションのチーフ専用の個室があるなど、明らかにゆとりを感じる仕様である。