(英エコノミスト誌 2014年6月14日号)

プレッシャーをどう克服するか: PK戦からの教訓

イタリアがPK戦でイングランド下し準決勝へ、サッカー欧州選手権

サッカー・ワールドカップ(W杯)および欧州選手権のPK戦の結果には、はっきりしたパターンが見て取れる〔AFPBB News

 かつて、サッカートーナメントのPK戦でゴールを外したイングランド選手は、恥辱に耐えたり、テレビ広告のちょっとしたボケ役を演じることを予期できる時代があった。

 2012年の欧州選手権でイングランドチームが直近の失態を演じた頃には、PK戦での失敗はよく降る雨や電車の遅れと同じように、避けられない国家的惨事に思えるようになった。

 だが、PK戦での失敗は偶然の結果ではない。ここには科学的な根拠が存在し、プレッシャーが大きいその他の場面への教訓を与えてくれる。

 PK戦――今回のワールドカップ(W杯)ブラジル大会では6月28日に初めて行われる可能性がある――では、サッカー選手に普段あまり必要とされない資質が要求される。試合そのものは団体競技だが、PKは孤独な戦いだ。PKには苦しんで考える時間がある。チームメイトの輪から離れ、ゴールに向けて進む長い歩みは特に苦痛だ。

 一見簡単に見えるが、その利害は狂おしいほど大きい。言い換えれば、PK戦は競技性やスキルより、むしろ度胸を試す戦いなのだ。

負け癖と国民文化

 一部の国はその他の国よりも神経質だ。PK戦は1982年に初めてW杯の同点決勝ゲームとして導入された。その結果には明確なパターンが見られる。

 W杯および欧州選手権のトーナメントで、7度のPK戦で6敗を喫したイングランドは最も成績が悪い(下表参照)。5度のPK戦で4敗したオランダもかなり悲惨だ。反対に、ドイツはW杯での4度のPK戦で全勝している(英国では、ドイツはPK戦で無敵だという概念は、いまだに通用する数少ない国民的ステレオタイプの1つだ)。チェコ人はそれ以上にうまく、PK戦で1発もゴールを外したことがない。

 各国ナショナルチームの成績の違いは、何で説明がつくのか? 1つの理論は、敗北が習慣化する、というものだ。過去の記録を見れば、選手――あるいは自国チームでもいい――が以前PK戦で失敗したことがある場合、ゴールを外す可能性が高いことが分かる。彼らは運命論的な見方をするようになり、結果は運次第と考え、入念な準備を怠るからだ。

 T・S・エリオットなら、「ペナルティーマークとネットの間に影が落ちる」とでも言ったかもしれない。