(2014年6月12日付 英フィナンシャル・タイムズ紙)

日本国債の格付け見通し引き下げ、ムーディーズ

日本の不動産が見直されている〔AFPBB News

 ソブリン・ウェルス・ファンド(SWF、政府系ファンド)が日本の不動産に群がっている。

 市場の噂によれば、カタールはボーリング場のポートフォリオを購入したばかりだ。アゼルバイジャンはもう少しで銀座のティファニービルを手に入れるところだった。シンガポールは東京南西部のしゃれた結婚式場、目黒雅叙園を購入する構えのように見える。

 SWFは、東京駅を見下ろし、フォーシーズンズホテルを収容する32階建ての超高層ビル、パシフィックセンチュリープレイスの入札者にも名を連ねると見られている。このビルが約1800億円(17億6000万ドル)という提示価格で売却されれば、リーマン危機以降日本で最大の不動産取引になる。

アベノミクスによる株式ブームが実物資産に波及

 安倍晋三氏がデフレを退治すると約束して首相に就任してから1年半が経過し、株式を巡る外国人投資家の熱狂の波が実物資産に波及している。

 リーマン危機以降、世界第2位の規模を誇る日本の商業不動産市場は世界のスペシャリストからすっかり見向きもされなくなり、一握りの外国企業――フォートレス、ブラックストーン、ローンスターなど――が銀行に差し押さえられた「グレードB」物件にしばしば飛び付く程度だった。

 これらのファンドは今も日本にとどまっており、日銀が過激な金融緩和政策に着手してから、急激な不動産価格上昇の波に乗っている。

 だが、ここへ来て、これらのファンドに、より継続的な長期資金が加わっている。ジョーンズ・ラング・ラサールによると、こうした投資の急増もあり、東京は第1四半期に100億ドル以上の売買を記録し、世界一活気のある不動産市場になったという。

 投資家たちは、不動産投資のリターンが非常に有利だと説明する。昨年8月から着実に上昇してきた上場不動産投資信託(REIT)部門の動きから判断すると、還元利回り――純収益を不動産売買価格で割ったものと定義される――は3.5%前後になっている。これは、約0.6%の10年物日本国債の利回りより何倍も高い。

 「今、よそでそのようなスプレッドを手に入れるのは難しい」。世界中で約250億ドルの運用資産を持つアンジェロ・ゴードンのマネジングディレクター、ジョン田中氏(東京在勤)はこう言う。「しかも日本の資金調達は世界一安いため、わずかなレバレッジで1ケタ台後半のキャッシュ・オン・キャッシュ・リターン(CCR)を生み出せる」