(英エコノミスト誌 2014年6月7日号)

最近のドイツの力強さは、欧州一の経済大国に内在する脆さを覆い隠している。

フランクフルト・アム・マインにかかる夏の雲

順風満帆に見えるドイツ経済だが・・・(写真はフランクフルト・アム・マイン)〔AFPBB News

 何カ月も決断を先送りした末に、欧州中央銀行(ECB)は6月5日、ユーロ圏で現在わずか0.5%という低インフレと戦うために、いくつかの面で行動に出た。ECBは主要政策金利を、既に低い0.25%から0.15%に引き下げた。

 より重視すべきことは、市中銀行から預かる資金に支払う預金金利をゼロからマイナス0.1%に引き下げることで――実質的に銀行に手数料を課すことになる――、主要な中央銀行として初めてマイナス金利の採用に踏み切ったことだ。

 さらに、ECBはなかなか融資を得られないユーロ圏周縁国の企業を支援するため、融資を通してそうした企業を支える銀行に低利で長期資金を供給する新たな政策を発表した。ドイツへの依存度が少ない、より幅広い景気回復を促すためには、そうした刺激策が不可欠となっていた。

 2014年第1四半期にユーロ圏経済が縮小するのを食い止めたのは、ひとえに、ベルリンのスカイラインにそびえるクレーン車や地上での道路工事に反映されている、前期比0.8%増(年率換算で3.3%)というドイツの力強い成長だった。

 この成長ペースは恐らく鈍るものの、ドイツ経済は2014年、2015年とも年間2%前後拡大する見込みで、2010年にユーロ危機が始まって以来ずっとそうしてきたように、他のユーロ圏諸国を優に上回るだろう。

作りはするが、消費はしない国

 2006年以降、ドイツの経常黒字は平均して国内総生産(GDP)比7%近くに迫り、2013年には過去最高の7.5%を記録した。ドイツの主要輸出市場である他のユーロ圏諸国が極めて脆弱だっただけに、これほど大きな経常黒字を持続していることは、なおのこと驚異的だ。他のユーロ圏諸国に対する経常黒字は、2007年のGDP比4.5%から2013年の2.1%に減少した。

 だが、輸出業者は、ドイツ企業が生産を得意とする機械や輸送機器に対する、投資熱の高い新興国市場の需要に巧みに乗じて、柔軟に対応してきた。

 過去の広範な改革に支えられた好調な労働市場が、すべてが順調に行っていることを示すもう1つの兆候だ。昨年の雇用者数はほぼ4200万人に達し、過去10年間で300万人増加し、1990年の東西統一以来、最高を記録した。9年前に労働人口の11.4%を占めた失業率も現在は5.2%まで低下し、統一以来で過去最低、EU加盟28カ国中で2番目の低さとなった。