(英エコノミスト誌 2014年5月31日号)

韓国の家計は、膨らんでいく債務の下で四苦八苦している。

 1997年のアジア通貨危機は、リーさんに大打撃を与えた。経営していたインテリアデザイン会社は倒産し、彼は公式に不良債務者の烙印を押された。しかし、その後に来た家計に対する信用ブームは、リーさんをもっと痛めつけた。

 銀行は法人向け融資を手控えるようになり、代わりに個人向け融資に目を向けた。クレジットカードの販促活動がテレビや街角など至るところで行われ、リーさんの妻を含め、誰にでも発行された。リーさんの妻は700万ウォン(6900ドル)の債務を積み上げた。その大半は未払いの利息だ。妻がリーさんと離婚した時、無職のリーさんがその債務を負う羽目になった。

 韓国経済の急成長は、巨大な工業コングロマリットである「財閥(チェボル)」の巨額債務の上に築かれた。ところが今、積み上がる家計債務が成長を妨げる恐れがある。

 家計債務は昨年初めて1000兆ウォンを超えた。そして家計債務は韓国の国内総生産(GDP)および平均世帯収入よりもずっと速いスピードで増加している。2012年には、家計債務は韓国の年間可処分所得の1.6倍となった。これに対して先進国から成る経済協力開発機構(OECD)の平均は1.3倍だ。

 2008年の金融危機以降、裕福な消費者が世界的に債務を削減してきたのに対し、韓国の債務の山は着実に大きくなってきた。

ノンバンクの融資の抑制に動く規制当局

 その理由の一端は、2008年の金融危機は韓国を動揺させただけで、このため危機後の緊縮が限定的だったことにある。顧客の所得に対する債務上限の引き下げなど、銀行に課された段階的な制限は、ノンバンクのライバル機関からの精力的な競争へ門戸を開いた。

 クレジットカード会社、相互貯蓄グループ、保険会社からの融資は、大手銀行による融資より急速に増加している。2013年にはノンバンクによる融資が540兆ウォンに達し、家計債務の半分以上を占めた。これは過去最高記録だ。

 規制当局は状況を察知し、バブルめいたノンバンクの融資を抑制しようとしている。2012年には、協同組合が預貸率を80%まで引き下げさせられた(銀行の預貸率は97%前後で推移している)。保険会社は、家計向けの商品の過剰な宣伝広告を制限された。ノンバンクが課すことができる上限金利は、年率39%から35%まで切り下げられた。これが、最も信用力の低い人向けの融資の闇市場を後押ししている可能性がある。