(英エコノミスト誌 2014年5月31日号)

国際ガス市場は発展しつつある。売り手より買い手の方が得をする。

4月の貿易赤字は5203億円、エネルギー輸入拡大

ロシア・サハリン島の液化天然ガス(LNG)プラントに入ったLNGタンカー〔AFPBB News

 液体になるまでガスを圧縮して冷やし、それをタンカーで輸送することは本来、ガスをパイプラインで送るよりコストがかかる。

 だが、最初の積荷がアルジェリアを出発してから50年が経過した今、液化天然ガス(LNG)はもはや風変わりでも複雑でも取るに足らないものでもなくなった。

 世界のLNG取引は過去2年間、新規供給がほとんどない不活発な場所だったが、エクソンモービルは5月25日、パプアニューギニアの190億ドル規模のプロジェクトから最初のLNGを出荷したと述べた。これは、まもなく市場に到来しようとしているLNG新規供給の波の第一波だ。

生産能力、輸送能力ともに急増

 現在進行中のプロジェクトは、2018年までに、現行の3分の1以上の追加LNG生産能力――中国が現在消費するLNGとパイプラインで送られてくるガスを合わせた量に匹敵する規模――が操業を開始することを意味する。2025年までに生産能力は2倍になる、とコンサルティング会社EYは試算する。

 オーストラリアでは7つのプロジェクトが建設中で、合計で年間80bcm(1bcm=10億立方メートル)のガスが供給されることになる。これは、ドイツの現在のガス消費量全体より多い。オーストラリアは2016年までに、カタールに次ぐ世界第2位のLNG輸出大国になるはずだ。

 パイプラインで送られるガスも増加する見込みだが、計画されているプロジェクトが実現すれば、世界のガス供給に占めるLNGの割合は現在の約15~20%から30%程度まで増える可能性が高い、と業界団体「国際ガス連合(IGU)」のディルク・ヴァン・スローテン氏は言う。

 既存の輸出国の中には、生産量を拡大しているところもある。極東のサハリンから世界のLNG市場の5%弱を供給しているロシアは、2030年までにシェアを20%に伸ばすことを目指している。LNG輸出を自由化する昨年のロシア政府の決定を受け、フランスのエネルギー企業トタルとロシア側のパートナー企業ノバテクは12月、北極圏のヤマル・プロジェクトに270億ドル投資することで合意した。

 つい数年前の2008年まで、米国はガス輸入大国になると予想されていた。ところが今はシェールガスブームのおかげで、輸入のために建設されたLNG設備が輸出向けに仕様変更されている。

 ルイジアナ州サビンパスの最初の大型ターミナルは、2016年初めまでに輸送を開始する。さらに4基のターミナルに輸送開始の認可が与えられている。米国のLNG輸出は2018年までに75bcmに達する可能性がある。