(英エコノミスト誌 2014年5月17日号)

彼らはすべてが予算オーバーだと考えている。

 サッカー・ワールドカップ(W杯)は、グローバルプレーヤーとしてのブラジルの成熟を披露する場になるはずだった。ところが、W杯開催に向けた準備は、ブラジルのサッカー選手とほとんど同じくらい有名なこの国の場当たりの対応を浮き彫りにした。

 開幕まで1カ月を切っているのに、大会組織委員会はまだ、すべての準備を整えようと奮闘している。

空港も競技場も計画通りにはいかず・・・

W杯開幕戦開催の未完成スタジアム、テストマッチで問題露呈

2014年サッカーW杯ブラジル大会の開幕戦が行われるサンパウロのアレーナ・デ・サンパウロでのテストマッチの様子〔AFPBB News

 5月11日には、サンパウロのグアルーリョス国際空港でしゃれた新ターミナルがオープンした。だが、同空港で来月運航している航空会社は、当初予定されていた25社ではなく8社にとどまる。

 別の開催地であるベロオリゾンテでは、空港の大部分が足場で覆われて埃をかぶっており、大会が7月に終わっても当分の間、そのままの状態が続く。

 サンパウロの競技場「アレーナ・コリンチャンス」が未完成ということは、4万人の観客しか5月18日の大会前のテストマッチを観戦しないことを意味した*1。これは6月12日の開幕戦で見込まれる観客数6万8000人よりかなり少ない。

 クリチバの競技場のメディアセンターはW杯に間に合わない。報道陣はテントに詰めることになる。

 煩雑なお役所仕事と連邦政府、州政府、自治体の機能の重複が、プロジェクトに混乱をもたらした。サッカー統括機関、国際サッカー連盟(FIFA)のジェローム・バルク事務局長は、ブラジル当局とのやり取りを「地獄」と酷評した。8人の建設作業員が事故で死亡しており、その数は4年前の南アフリカ大会より6人多い。

 FIFAは、ファンがブラジルに押し寄せ始める頃までにはスタジアムが完成すると強調する。だが、工事の遅延により、通信装置の設置および試運転に費やせる時間がほとんど残らず、テレビやラジオの放送が途切れ途切れになるとの懸念が広がっている。

 コンサルティング会社KPMGによると、予算超過――便乗値上げがその原因の1つと言われている――のせいで、観客席1席あたりのコストに基づいて算出すると、ブラジルは今、世界で最も高額なサッカー競技場20のうち10を抱えているという。

*1=アレーナ・コリンチャンス(別名アレーナ・デ・サンパウロ、イタケロン・スタジアム)は開幕戦のブラジル対クロアチア戦の会場。テストマッチでは、座席の設置が間に合わずに観客数が限定されたほか、屋根が完成していないために雨に降られて観客がずぶぬれになった