(英エコノミスト誌 2014年5月17日号)

インドの新政権は経済を立て直さなければならない。その方法は以下の通りだ。

インド総選挙投票終了、政権交代の公算

世界最大の選挙が終わり、インド最大野党の人民党(BJP)が大勝して、10年ぶりに政権を担うことになった〔AFPBB News

 5週間に及ぶインドのマンモス選挙が終わり、数億人の有権者が票を投じた。本誌(英エコノミスト誌)が印刷に回されるころには公式結果が出ているはずだ*1。数日中には新政権が誕生する。

 出口調査ではインド人民党(BJP)が優勢で、10年ぶりに政権に返り咲く公算が大きい。そうなれば、選挙戦を率いたナレンドラ・モディ氏が首相の座に就くことになる。

 投資家たちはこの見通しに胸を躍らせている。こうした人々は、モディ氏がグジャラート州の首相としてビジネスを後押しした実績や、選挙戦で「ビカス(発展)」を強調していた点を評価しているのだ。

 誰が首相になるにせよ、対パキスタン関係の修復から鉄鉱石マフィアへの対応まで、課題は山積している。しかし、最も優先すべきは、一部の尺度によっては世界第3位にもランクされる経済の立て直しでなければならない。それこそが、数億人を貧困から救い出し、食べ物にも事欠くインドの若者たちに雇用を創出するための鍵となる。これは大仕事だ。

失われた5年

 10年前、インドの経済はエネルギーに満ち、企業活動が盛んな地として、新たな敬意を集めつつあった。ところが、ここ数年の経済実績は悲惨な状況だ。

 今や海外企業のトップは、インドの話になると、1980年代と同様の不信感をあらわにする。成長率は5%と、2004~2008年の好況期のピーク時の半分の水準にまで落ち込んでいる。インフレ率と公的債務の水準も高すぎる。2013年にはルピーが暴落した。

 民間企業はお役所仕事や汚職にうんざりし、投資を国内総生産(GDP)比でピーク時の17%から9%にまで減らした。指標によっては、インドは時代を逆行している。家計は貯蓄を銀行から引き揚げ、大昔から安全とされる金へとシフトしている。工業化が進んでいるはずの国で、工業がGDPに占める割合は低下しており、製造業の雇用も低迷している。

 前政権は優柔不断で、社会保障制度の整備ばかりに気を取られていた。インドの新たな指導者たちはもっと戦略的になり、断固とした姿勢を見せなければならない。新政権の取り組むべき課題は3つの部分からなる。

 まず、腐敗した銀行の問題に取り組まなければならない。些末な話のように聞こえるかもしれないが、決してそんなことはない。経済が減速し、インフラプロジェクトがお役所仕事のせいで滞っているため、不良債権は膨れ上がっている。銀行はゾンビ企業に「extend and pretend*2」の融資を続ける道を選択している。

*1=記事が出た後に発表された開票結果では、野党のインド人民党(BJP)が単独過半数の議席を獲得し、10年ぶりに政権を奪還した

*2=融資の期限を延長し、問題がないふりをすること