(英エコノミスト誌 2014年5月3日号)

ようやく日本企業は適切な外部の目にさらされることになりそうだ。

オリンパス元社長、委任状争奪戦を断念 「不当解任」提訴の意向

マイケル・ウッドフォード氏がオリンパスの巨額損失隠しを追及しようとした時、日本の大株主は沈黙を通した〔AFPBB News

 光学機器メーカーのオリンパスが2011~12年に日本で数十年ぶりとなる一大会計スキャンダルにまみれた時、多くの日本人大株主の沈黙は、この不祥事の最も憂慮すべき特徴の1つだった。

 オリンパスの元社長から内部告発者に転じたマイケル・ウッドフォード氏が警鐘を鳴らした後、公に答えを要求する役割は外国の資産運用会社2社に委ねられた。

 だが今後、見て見ぬふりをすることが難しくなろうとしている。日本の資産運用会社は今年、安倍晋三首相率いる政権が導入した新しいスチュワードシップコードを採用する。株主は企業をしっかり監視し、必要に応じて率直に発言することが強く求められるようになる。

 オリンパスの不祥事が起きたもう1つの原因は、取締役がイエスマンばかりだったことだ。それについても政府は対策を講じる方針だ。安倍氏率いる自民党は近く、コーポレートガバナンス(企業統治)に関する新たな規則を策定する見通しで、企業に独立取締役(社外取締役)を置くよう求める指針も盛り込まれる。

 任意とはいえ強力なこのコード(規則に従わない時はいかなる場合も、その理由を求められるため)は日本で初めて導入されるもので、スチュワードシップの規則の骨子となるだろう。何百社もの日本企業とその株主にとっては、この2つの組み合わせは革命も同然である。

一部新興国より立ち遅れていた日本のコーポレートガバナンス

 現状では、日本のコーポレートガバナンスは一部新興国のそれより立ち遅れている。2013年には日本の大手上場企業約1400社のうち600社近くが社外取締役を1人も置いていなかった。一方、韓国、中国、そしてインドでは社外取締役が必須となっている。ニューヨークに上場している企業は、取締役会の議席の半分以上を社外の人間に与えなければならない。

 日本では、3人以上の社外取締役を置いている企業――3人は一般に取締役会で影響力を振るうために必要とされる最低人数――はほんの一握りしかない。オリンパスには社外取締役として3人が名を連ねていたが、ウッドフォード氏によれば、当時の会長に対する彼らの服従姿勢は「教室の中の生徒」を思わせたという。

 日本の経営陣に対する監視体制の欠如は、慢性的な業績不振の一因となっている。「東証株価指数(TOPIX)500」に名を連ねる企業の2012年の平均自己資本利益率(ROE)は7%だったが、米国や欧州企業のそれは15%を上回っていた。