(英エコノミスト誌 2014年5月10日号)

行方不明機を巡ってマレーシアを激しく非難していた中国だが、今では関係の修復に動いている。

マレーシア首相、不明機は「インド洋に墜落」と発表

マレーシアのナジブ・ラザク首相(中央)は、批判の矢面に立たされてきた〔AFPBB News

 マレーシアのナジブ・ラザク首相は5月5日、行方不明となっているマレーシア航空機の捜索は、たゆまず続けると明言した。

 しかし、この確約にもかかわらず、3月8日に消息を絶ったマレーシア航空370便の痕跡を発見するには、数カ月どころか数年かかるだろうという認識が広がりつつある。

 乗客の生存も絶望視せざるを得ない。インド洋の新しい捜索海域だけでも6万平方キロメートルに及ぶ。これ以前に、既に460万平方キロメートルが捜索済みだ。

世界の注目を浴び、叩かれ続けた忌まわしい2カ月間

 現在は捜索・救助活動の焦点がオーストラリア西海岸に移ったため、マレーシア人は、世界の注目を浴び続けた忌まわしい2カ月をじっくり考える余裕が少しは生まれた。

 マレーシアは大きな打撃を受けたが、長期的損害となると、また別の問題だ。一連の出来事は、東南アジアの地政学におけるマレーシアの重要度を浮き彫りにした――太平洋に面する2つの超大国、米国と中国がともに、行方不明機の捜索で大きな役割を果たしたのだ。ただし、両国の関与のあり方は大きく異なるものだった。

 マレーシア航空370便が消息を絶った後のマレーシアの対応は、どう見ても対外広報活動の大失敗だった。事故直後の1週間に見られた当局の混乱、発表の回避、矛盾する説明で、その失敗の方向は固まった。中でも大きかった過ちは、政府当局が、情報を、当たり障りのないものでさえ、なかなか公表しようとしなかったことだ。

不明機の捜索海域で油膜を発見、豪

行方不明機の捜索・救助活動の焦点は今ではオーストラリア西海岸に移っている〔AFPBB News

 これが犠牲者の家族の反感を買った。問題は今でも続いている。5月1日、マレーシア政府は、待ち望まれていた370便失踪に関する報告書を公表した。だが、この報告書はわずか5ページしかなく、新しい情報はほとんど含まれていなかった。

 それでも、ある政府顧問は、「これを最初の週に公表していれば、我々が9週間にわたって嘘つき野郎と皆に激しく非難されるようなことにはならなかっただろう」と認めている。