モスクワには、日本の新聞各紙のモスクワ特派員氏が何人もいて、それぞれテーマを追いかけているが、そういう特派員の方々と食事をしたりすると、そのテーマがぽろりと見えたり、まさにその特派員氏が食事中に力説されたことが数日後に記事になっていたりすることがある。

 そんな理由から特派員の方々との食事会というのは、報道とは無関係の筆者のような立場でも、味気ないモスクワ生活の中で、元気を取り戻す大事なイベントである。

ロシア軍のウクライナ侵攻が今後の山場

ウクライナ軍が東部で奪還作戦、ヘリ2機撃墜される

内戦状態に入ったとも言えるウクライナ。写真はアンドレーフカ村〔AFPBB News

 そんなイベントが、このところ全く途絶えている。

 もちろん、理由はウクライナ情勢取材のため、特派員氏がウクライナに出張中か、あるいはモスクワに居ても、状況をモニターするため、席を長時間外せないためである。

 そして、この状態が本当に5月25日の大統領選挙で終わるのか、あるいは選挙後も混乱が続くのか、今もって全く読めない状態にある。

 モスクワから大挙特派員がウクライナに入る、という理由は、そもそもウクライナ駐在者が少ないことのほか、実は内乱報道そのものよりもロシア軍のウクライナ侵攻報道が今後の山場になるためであろう。

 もし、ロシア軍がウクライナ東部の親露派支援のため、国境を越えて進軍するような状態になれば、5月25日に大統領選挙が行われるかどうか、なんていう問題は吹っ飛んでしまい、報道の中心はロシア軍とウクライナ軍の対峙、あるいは戦闘に移り、新聞各社よりもテレビ局が総動員体制を敷かねばならない事態となる。

 今でも、ロシア・ウクライナ国境付近に展開し、時に演習を通してウクライナに圧力をかけるロシア軍は、今後の状況により、ウクライナ東部に進軍する可能性を完全には否定していない。

 今でも、すでにロシア軍関係者が隠密にウクライナ各地に入り、親露派の技術・戦略面での指導を行っている、という報道がされているが、正規軍が国境を越えてウクライナに進軍すれば、そのレベルの反応では済まないことはこれまでのEU、米国の声明を見るだけでも明らかだ。

 さて、このあたりから本日の本題に入ろう。