(英エコノミスト誌 2014年5月3日号)

オバマ大統領のアジア歴訪で、各国は大統領より多くを得た。

TPP「進展あった」と米高官、農業分野で「道筋」に言及

アジア4カ国歴訪を終えたバラク・オバマ大統領が持ち帰った成果は・・・〔AFPBB News

 米国のバラク・オバマ大統領は、4月28日のマニラでの晩餐会を最後に、アジア4カ国の歴訪を終えた。今回のアジア歴訪の目的は、広言されてきたアジアへの「ピボット(旋回)」を改めて明確にすることだった。

 最近では「リバランス(再均衡)」と呼ばれることが多くなったこのアジア重視政策への転換は、2期にわたるオバマ政権の外交政策の中で恐らく最も印象的なものだろう。

 しかし総じて言えば、訪問先の日本、韓国、マレーシア、フィリピンが米国大統領から得たものの方が、大統領が各国から得たものより、かなり多かったように見える。

 中国が台頭する中で、また韓国と日本については北朝鮮の脅威にもさらされる中で、これら4カ国はいずれも、程度の差こそあれ、オバマ大統領に軍事的、外交的関与の強化を求めていた。特に日本とフィリピンは、中国の脅威を強く感じている。両国は、それぞれ東シナ海の島嶼と南シナ海の岩礁について中国との間に領有権問題を抱え、強硬な姿勢を強めつつある中国とまともに対峙しているのだ。

ホスト国は得たものが多かったが・・・

 日本とフィリピンは米国の同盟国であり、米国から受けて然るべきと考える追加支援を得た。オバマ大統領は、尖閣諸島(中国名:釣魚島)が武力攻撃を受けた場合には日米安全保障条約が適用されると明言し、日本はこれを歓迎した。米国はまだ、この無人島の主権という究極の問題に関しては、どちらの立場にも立たないとしている。だが、その姿勢は尖閣諸島が日本の施政下にあるとする立場を妨げるものではない。

 これは、米国の現職大統領が関与の意思を明確にした初めてのケースであり、中国の重大な侵略があった場合には、米国は必ず日本を支援するとして日本の安倍政権を安心させることを意図したものだ。

 同様に、フィリピンのベニグノ・アキノ大統領は、10年間にわたる新たな防衛協定の調印を歓迎した。米国は、1990年代初頭にフィリピンのクラークとスービック湾にあった米軍基地を閉鎖してこの国を去ったが、この協定により、それ以来となる重要な軍事的プレゼンスを得ることになる。

 オバマ大統領の2日間の韓国訪問でも、最も実質的な成果があったのは軍事面だった。現在の両国間の協定では、戦時には韓国軍は米軍の指揮下に入ることになっている(韓国は現在、平時の統制権は有している)。しかし、2015年12月にはこれが変更され、戦時の作戦統制権が米国から韓国に返還されることになっていた。