ドイツのゴミ法が誕生したのは、ちょうど20年前のことだ。それ以後、同法は何度も改正され、今は、2012年に改正されたものが有効だ。法律の目的は、できる限りのゴミの再利用と、環境を汚染しない処理で、循環経済法と呼ばれている。

包装材回収をめぐる紆余曲折

 1994年、同法の中で力が入れられたのは、包装材の軽減だった。本来の商品を包んであるすべての包装材、つまり、ヨーグルトのカップや、ビニールケースや、缶詰の缶や、牛乳のテトラパックや、段ボールや、発泡スチロールなど、とにかくすべての包装材は、それを売った業者が無償で引き取らなければならず、また、最終的にそれらがリサイクルに利用されなければならないと決めたのが、この法律である。

川一面に浮かぶごみ、インドネシア

インドネシアの首都ジャカルタで、ゴミが一面に浮かぶ川を清掃する作業員〔AFPBB News

 それはどういうことかというと、つまり私たち消費者は、それらの包装材、つまりゴミを、後日、再び買った店に持ち込むことができるということだ。そして当時、短期間ではあるが、実際にそれが実行され、あちこちのスーパーが大混乱になったのである。

 スーパーは、また、そのゴミをさらに卸業者に戻すことができ、卸業者は、最終的に製造者に戻せるのだが、はっきり言って、これらは実行不可能なことだった。

 そこで解決策として、ドゥアレシステム・ドイツという会社が作られた。各メーカーは、生産した物の数に見合った何がしかのお金を、この会社に払って、包装材の回収を代行してもらうのである。例外は、古紙とガラスで、これは、過去のシステムがうまく機能していたので、それがそのまま継続されることになった。

 つまり、それ以来、消費者は、わざわざヨーグルトのカップやら缶やらテトラパックを小売店に持っていかなくても、包装材はドゥアレシステムが支給する黄色いポリ袋に全部入れて、指定された日に家の前に出せば、回収されることになった。しかも、それがリサイクルされるのだから、万々歳である。

 メーカーは、ドゥアレシステムに支払う費用は、どのみち商品に上乗せしたので、結局、回収費は消費者が払っているようなものだったが、環境のために貢献しているという満足感があったためか、市民から文句は出なかった。

 一方、メーカーは、包装材の量によってドゥアレシステムに料金を支払わなければいけないため、包装材の軽減に努力することになった。そんなわけで、当時は、各種パッケージが軒並み小さくなった印象が強かった。

 ただ、ここ数年は、シングル所帯が多くなったこともあり、特に食料品などは商品自体が小型化し、パッケージのゴミの量はふたたび増えているそうだ。そして、ドゥアレシステム・ドイツの独占状態もとっくに終わり、今では、いろいろな会社が競合して包装ゴミを集めている。