(英エコノミスト誌 2014年4月26日号)

国際的な地位を目指す中国人民元の絶え間ない動きは、危険な企てだ。

中国は対抗措置、対中関税引き上げ法案の発表受け

紙幣の色から米ドルが「グリーンバック」と呼ばれるのに対し、中国人民元は「レッドバック」と呼ばれる〔AFPBB News

 中国国外では最近、毛沢東は時代遅れな存在で、革命の英雄としてよりも専制君主として記憶されている。しかし、紙幣にその肖像画が印刷されている中国人民元は、海外で前進している。

 香港では、一部のATM(現金自動預け払い機)が「レッドバック」として知られる人民元を扱っている。モンゴルでは、流通している現金の6割が中国通貨だと見られている。

 人民元の本格的な国際化は2009年に始まったばかりだが、今では世界で7番目によく使われる通貨となり、1年前の13位から大きく順位を上げた。

 多くの中国人は、世界最大の貿易国である中国が数年後に世界最大の経済国にもなった時には、中国通貨はその地位に見合うよう、米ドルが享受してきた国際通貨体制における支配的地位に挑戦する準備が整うと期待している。彼らは恐らく落胆することになるだろう。

 20年前まで人民元は完全に国内向けの通貨だったため、中国にいる外国人は代わりに「外貨兌換券(FEC)」と呼ばれる引換券を使わねばならなかった。今では人民元の前進を告げる画期的な出来事が毎週起きている。

前進を続ける人民元だが・・・

 4月には、香港と上海の証券取引所を連動させ、取引の元建て決済を認めるという、延び延びになっていた合意にゴーサインが下りた。シンガポール、ロンドン、フランクフルトもまた、人民元取引のハブになろうと張り合っている。中国の中央銀行は20カ国以上とスワップ協定を結んでいる。オフショア(主に香港)で発行される人民元建ての「点心」債の市場は拡大している。

 現在、中国の対外貿易の18%程度が元建てで決済されており、来年にはその割合が30%に達すると香港金融管理局(HKMA)は見ている。複数の中央銀行は既に、外貨準備高の一部を人民元で保有している。エコノミストらは、中国、香港、台湾、そして東南アジア諸国連合(ASEAN)加盟10カ国を網羅する「元ブロック」の出現について語っている。人民元の国際化は容赦なく進み、止められないように思える。

 国際通貨体制に関する新刊『The Dollar Trap(ドルの罠)』の著者で経済学者のエスワー・プラサド氏は、それほど確信が持てない。プラサド氏は、通貨の国際化には、3つの本質的側面があると指摘する。