(英エコノミスト誌 2014年4月26日号)

今すぐ政策を変え始めなければ、高齢化する経済はやがて減速し、格差が広がっていくだろう。

米投資家バフェット氏がウクレレの弾き語り、中国の春節特番で

80代に入ってなおバークシャー・ハザウェイの会長兼CEOを務めるウォーレン・バフェット氏〔AFPBB News

 5月3日に米投資会社バークシャー・ハザウェイの年次株主総会を華やかな社交ショーとして開催するウォーレン・バフェット氏は、米国資本主義の象徴だ。

 83歳になるバフェット氏は、ある顕著な人口動態傾向の体現者でもある。すなわち、高いスキルを持つ人々が、かつては「老齢」と見なされた歳になっても働き続けるという傾向だ。

先進国全体で、高学歴の人がスキルの低い人よりも長く働く傾向が強まっている。62~74歳の米国人男性のうち、専門職学位を持つ人は約65%が現役で働いているのに対し、高卒の学歴しか持たない人では、その割合は32%にとどまる。欧州連合(EU)でも傾向は同じだ。

 このギャップは、高学歴の富裕層とスキルを持たない貧困層との間に広がる溝の一部となっている。この溝は、あらゆる年齢層を分断している。急速な技術革新は、高度なスキルを持つ人の収入を上げる一方で、スキルを持たない人の収入を押し下げた。スキルが特に高い人の年間労働時間は、スキルをほとんど持たない人よりも長い。また、高学歴の人の就労年数は、低学歴の人よりも長くなっている。

 この傾向がもたらす影響は、個人にとっても社会にとっても甚大だ。

より高齢でより賢く、しかも数が多い集団の出現

 世界は今まさに、高齢者人口の爆発的増加の時代を迎えようとしている。寿命はさらに延び続けるはずだ。

 65歳以上の世界人口は、今後20年で6億人から11億人へと、ほぼ倍増する見込みだ。20世紀には、寿命が延びれば、その分、就労年数ではなく退職後の年数が長くなった。その経験から、今後の高齢化が経済成長の減速と「長期停滞」をもたらし、年金受給者数の増加が財政を破綻させると予想する向きも多い。

 しかし、「働く若者と働かない高齢者」というこの対立の図式からは、スキルの高い人と低い人の格差の拡大という新たな傾向の観点が抜け落ちている。スキルを持たない若者の雇用率が低下している一方で、スキルの高い高齢者の就労年数が伸びている。この差が最も極端なのが米国だ。米国では、高学歴のベビーブーム世代の退職年齢が上昇しているのに対し、スキルの低い若者の多くが失業している。

 原因の一端は政策にある。多くの欧州諸国では、早期退職を促す政策が放棄された。平均寿命の延びに加え、気前のいい確定給付型年金制度に代わる無駄のない確定拠出型年金制度の導入により、富裕層でさえ、不安のない老後を送るためには、これまでよりも長く働かざるを得なくなっている。