(英エコノミスト誌 2014年4月19日号)

間近に迫ったアジア歴訪で、バラク・オバマ大統領が失望を招くのは間違いない。

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バラク・オバマ大統領は4月22日から日本、韓国、マレーシア、フィリピンを歴訪する〔AFPBB News

 アジア太平洋地域への戦略的「ピボット(旋回)」あるいは「リバランス」は、バラク・オバマ大統領の下での米国外交政策において中核を占めている。それゆえに、オバマ大統領の同地域への訪問がこれまでたびたび土壇場で中止に追い込まれてきたことは、単なる不始末以上の意味合いをはらんでいる。 

 直近では2013年10月、米国で政府機関の一部が閉鎖された際に、オバマ大統領は2つの地域サミットへの出席を取りやめざるを得なくなった。この一件により、4月22日からのオバマ大統領による日本、韓国、マレーシア、フィリピン歴訪の重要性はいっそう高まった。

アジアの同盟国・友好国が抱く不安

 この歴訪は、条約を結ぶ3つの同盟国、および未来の「戦略的パートナー」と目される1カ国(マレーシア)、そして中国の急速な台頭の影響への対処に苦慮しているこの地域全体に向けて、米国が軍事的、経済的に関与していくことを改めて示す好機と言える。

 そうした再保証は、米国がシリアへの介入でつまずき、そして特にウクライナにおけるロシアの拡張政策の阻止に失敗した後では、よりいっそう必要とされるものだ。この2つの出来事により、平和維持に向けた米国の意欲、さらには能力が減退しているとの認識が高まっている。

 日本やフィリピンなど、係争中の領土に対する中国の強引なやり口に直面している国々は、当然のことながら懸念を抱いている。米国が今後もウクライナのためにほとんど何もしないとしたら、果たして東シナ海や南シナ海の無人の島や岩礁のために、自国の人命や財産を危険にさらすだろうか? 

 理屈の上では、状況があまりにも異なるため、アジアにおける米国の同盟国が懸念を抱く理由は何もない。シリアの反体制派やウクライナとは違って、日本やフィリピンは米国と相互安全保障条約を結んでいるからだ。

 実際問題として、仮に米国が現実に中東や東欧における紛争に軍事介入していたら、アジアの同盟国は、恐れていた通り、米国の言う「リバランス」とはアジアの優先順位が他の地域よりも低いことを示すものだと気を揉んでいたはずだ。「リバランス」とは、この地域に再び保証を与えようとする戦略だが、いずれにしても米国には勝ち目はないように見える。

 事態をさらに複雑にしている問題が他にもある。その1つは、米国にとって最も重要な2つの同盟国、日本と韓国の冷え切った関係だ。