(英エコノミスト誌 2014年4月12日号)

中国は、ほかに選択肢を持たない国々に対し、不相応に多くの融資を行っている。

 中国の台頭はすべての地域を変えた。だが、既存のパターンを強めることにもなった。中国のコモディティー(商品)需要は、原材料の供給者としての中南米諸国の立場を定着させた。中国は、ベネズエラとエクアドルから石油を、チリからは銅を、アルゼンチンからは大豆を、ブラジルからは鉄鉱石を大量に調達している。ブラジルとは、4月8日にトウモロコシの輸入協定も締結した。

 中南米地域に対する中国の融資は、天然資源の趣も色濃い。

 データは不完全だが、シンクタンクのインターアメリカン・ダイアログとボストン大学の共同研究「チャイナ・ラテンアメリカ・ファイナンス・データベース」が新たに公表した数値によると、中国は2005年から2013年にかけて1000億ドル近い資金を中南米に貸し付けた(図参照)。

 群を抜いて大きいのは、中国国家開発銀行(CDB)からの融資だ。こうした金額には大きな意味がある。中国の金融機関は昨年、約150億ドルの融資を行った。これに対し、世界銀行は2013年度に52億ドル、外国商業銀行は昨年、推定170億ドルを融資した。

歓迎される中国マネー

 中南米諸国に対する中国からの融資の半分以上をベネズエラが受け取っており、ベネズエラは中国向けの長期石油販売契約の利益で融資の大半を返済している。エクアドルも似たような契約を交わしている。2009年にCDBから100億ドルの与信枠を取り付けたブラジルの国営石油企業ペトロブラスも同様だ。

 石油と引き換えに融資を行うこうした「ローン・フォー・オイル」協定は中国にとって好都合だ。それも単に、こうした契約が長期的なエネルギー供給を確保する助けになるからだけではない。ベネズエラやアルゼンチンのような信用力の低い国に融資するリスクを軽減することにもなる。石油販売の売上金は、石油会社の中国口座に預金され、そこから支払いを直接吸い上げられるからだ。

 金融市場が警戒する場所で中国マネーが歓迎されていることに何ら驚きはない。2008年に債務をデフォルトしたエクアドルは、予算の穴を埋めるとともに、債券市場に復帰しようとする前に返済実績を築くために中国の融資を利用している。

 しかし、中国の信用供与は、その他の国でも魅力がある。国が融資元を多様化することは、多くの場合、合理的だ。融資は直接投資に道を開くことができる。またボストン大学のケビン・ギャラガー氏が指摘する通り、中国の銀行は概ね、多国籍企業とは異なるセクターで事業を展開している。2005年以降、中国が中南米地域向けに実施した融資のうち、85%はインフラ、エネルギー、鉱業に向けられた。

 借り手は融資の見返りとして、融資額の一定割合を中国製品に費やさねばならないかもしれない。一部の観測筋は、中国の銀行の比較的緩い環境基準について心配している。しかし肝心なのは、資金が入手可能なことだ。融資金額は増えていくと思った方がいい。
 

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