(英エコノミスト誌 2014年4月5日号)

安倍晋三首相が打ち出した派手な経済特区は、十分な規模だが、大胆さに欠ける。

 東京のショッピング街、銀座で不動産会社を経営するヨシムラ・イズミさんにとって、4月1日の5%から8%への消費税増税は3重の打撃となる。生活費が上昇し、会社のコンピューターシステムも多額の費用をかけて調整しなければならない。さらに彼女が手にする仲介料は、マンション販売の落ち込みとともに減少しそうだ。

 悲観的なムードに追い打ちをかけるように、4月1日に発表された日銀短観は、多くの企業が増税による抑制効果を懸念していることを示していた。小売業者は特に悲観的だった。

 増税後の数週間は消費が冷え込むと見られる。日本の第2四半期の国内総生産(GDP)は、年率換算で4.1%程度収縮するかもしれないとエコノミストは指摘する。日本の成長をここまで引き上げてきたのは主に、1年前に始まった日銀による大胆な金融緩和策と巨額の財政支出の両輪にほかならない。

 増税後に中央銀行は追加緩和に踏み切ると見られているが、予想される景気の冷え込みは、安倍氏にその他の成長促進策を断行する圧力をかけることになるだろう。安倍政権はこれまで、構造改革の公約を概ね果たせずにいる。

 安倍氏が構造改革を避け続けるのではないかと不安を感じる人たちにとって、3月28日の国家戦略特区6区域の発表は歓迎すべきニュースとなった。特区内では、企業は日本全体としては大きな物議を醸す措置を講じられるようになる。例えば、より簡単に従業員を採用、解雇できるようになる。そうした規則は後に、全国に拡大される見通しだ。

大胆な規制緩和に動く特区もあるが・・・

日本の農業人口、20年間で半減 高齢化進む

特区の取り組みが全国に広がれば、日本の農業が大きく変わる可能性もある〔AFPBB News

 この真新しい特区は、実に広範囲に及んでいる。東京圏、関西圏のほか、千葉県の成田市、そして福岡市が対象地域に指定されている。すべて合わせると、日本のGDPの4割近くを生み出す地域が特区内に入ることになる。

 一部の特区は、特に大胆な規制緩和を進める。兵庫県の山間にある小さな町、養父市とそれより大きい新潟市では、保護された農業分野への大企業の参入を阻止する市の農業委員会の権限が大幅に抑制される。

 こうした動きが全国に拡大すれば、日本の農業を大きく変える一助となるかもしれない。