(英エコノミスト誌 2014年4月5日号)

中国は世界における欧州の立場にどのような影響を与えているか。

 世界2大経済大国である米国と中国の指導者が互いに数日違いでブリュッセルを訪問したことほど、欧州は依然として世界の一大勢力であると欧州の官僚たちを安心させるうえで、うまく考えられたものはなかった。

 バラク・オバマ大統領と習近平国家主席はともに欧州連合(EU)を表敬訪問し、世界最大の輸出地域である欧州との貿易関係を改善するよう努めた。だが、両国の類似点はここで終わる。

 米国大統領は、欧米の同盟関係が好戦的になったロシアと対峙する態勢に入るよう、もっぱら普遍的価値や安全保障について語った。習近平氏は、代わりにシルクロードの復活について語り、ロシアのクリミア併合については態度を明らかにしなかった。

 欧州は、大西洋を挟んだ野心的な貿易取引をまとめることには熱心だが、EUと中国の貿易協定を求める習氏の呼び掛けには乗り気ではない。中国に対する欧州の姿勢は、理解不能とは言わないまでも、依然として猜疑心を特徴とする。

 例えば、ドイツのアンゲラ・メルケル首相の習氏への贈り物はどう考えたらいいのだろうか? 誤ってか意図的にか、メルケル氏は習氏に、チベット、新疆、モンゴル、満州を中国領土から除外した18世紀の地図を贈った。地図は台湾島と海南島も除外しているように見えた。中国の公式メディアは、この地図を無視するか、そうでなければ、はるかシベリアまで広がる中国を示した19世紀の地図と置き換えた。

次第に和らぐ対中警戒感

 このようなミスは別にして、中国の台頭に対する欧州の神経質な反応は、このところ弱まっている。欧州諸国は、ユーロ危機を乗り越えて、少し安心したのかもしれない。あるいは、足取りの重い成長を後押しするために自分たちが中国を必要としていると自覚して、より現実的になっているのかもしれない。

 欧州各国政府は、中国が欧州企業を安く買い叩いていると心配するよりも、むしろ最近では中国の投資を呼び込むために競い合っている。

 貿易紛争で中国が以前より扱いやすくなったことも助けになっている。両者は、値段の安い中国のソーラーパネルを巡る長い論争に決着をつけた。習氏の訪欧に先立って、中国はワインとポリシリコン(ソーラーパネルを作るために使われる材料)の輸入に反ダンピング関税を課すとの脅しも取り下げた。

 一方、欧州は、中国の通信機器メーカーによるダンピング疑惑を非難するのをやめた(もっとも違法な補助金疑惑に対する調査は取り下げていない)。